酸素計数

JIS L-1903 (8.7)

羽毛に残留する水溶性の被酸化性物質量を調べる試験。

羽毛に付着している汚れ(有機物)の程度を示す指標となる。

酸素計数

試験目的

精製処理前の羽毛には有機物による汚れが付着しています。これらの汚れが精製過程で十分に除去されず、残留するとにおいの発生の原因となります。酸素計数試験は羽毛に残留している有機物の量を調べる試験です。羽毛原料に蒸留水を加えて振とうし、残留有機物を抽出します。得られたろ液に有機物を酸化する作用をもつ過マンガン酸カリウム溶液を加えます。過マンガン酸カリウム溶液は微紅色を呈しますが、有機物を酸化することによって無色に変化します。

ろ液に過マンガン酸カリウム溶液を加えると、ろ液中の有機物を酸化して無色に変化します。しかし、ろ液内の有機物を酸化しきると、溶液は過マンガン酸カリウム由来の微紅色を呈します。ろ液が微紅色を呈するまでに要した過マンガン酸カリウム量から、羽毛に残留している有機物量を算出します。

試験方法

①  3.0g±0.1gの試料を2個採取する。それぞれの試験試料を共通すり合わせ三角フラスコに入れる。それぞれの共通すり合わせ三角フラスコに20℃±2℃の水300mlを加えて試験試料を十分湿潤させた後、振とう機を用いて45分間振とう幅40mm, 振とう数毎分150回±10回で振とうする。

②   振とう後、懸濁液を個別にガラスろ過器でろ過し、ろ液100mLを全量ピペット又はメスシリンダーでトールビーカー又は三角フラスコに採り、これに硫酸(1+5)を1mL~2mL加えて酸性にした後、マイクロビュレットなどを用いて0.02mol/L 過マンガン酸カリウム溶液を1回に約0.02mL滴下し、60秒以上微紅色を保つまで滴定する。

③   ②の懸濁液に代え、水100mLに硫酸(1+5)を1mL~2mL加えたものについて空試験を行う。

④   次の式によって酸素計数(mg)を算出し、2個の平均値で表す。(小数点1桁に丸める。)

    O = 80(abf

ここに、O:酸素計数(mg)

    a:本試験に要した0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液(mL)

    b:空試験に要した0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液(mL)

    f:0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクター

 

参考基準 日本羽毛製品協同組合(ゴールドラベル品質基準、ダウンウエアラベル品質基準) :4.8mg以下

1.過マンガン酸カリウム溶液滴下前

左:空試験(計0mL)
右:試料溶液(計0mL)

2.過マンガン酸カリウム溶液滴下(1分後)
左:空試験(計0.02mL)
右:試料溶液(計0.02mL)
空試験では微紅色を呈したが、試料溶液は透明のまま。
3.試料溶液のみ過マンガン酸カリウム溶液滴下(1分後)
左:空試験(計0.02mL)
右:試料溶液(計0.04mL)
試料溶液のみ2回目の滴下を行うが、試料溶液は透明のまま。
4.試料溶液のみ過マンガン酸カリウム溶液滴下(1分後)
左:空試験(計0.02mL)
右:試料溶液(計0.06mL)
試料溶液のみ3回目の滴下。
試料溶液は空試験と同程度の
微紅色を呈した。

過マンガン酸カリウムのファクターを1.000とすると、
80×(0.06-0.02)×1.000 = 3.2
となり、酸素計数は3.2 mgとなる。
求人
WEB閲覧システム