概要
靴に使用されている天然皮革や合成皮革の革の表面層の強度が弱い場合、靴を履いている際の屈曲動作や擦れなどで表面が剥がれてくることがあります。
特に靴は着用時に加わる物理的な負荷が大きいため、革の表面層の強度を事前に確認することが重要です。
革の表面層の強度の確認方法は主に「革の仕上げ膜の剥離強さ」と「塗膜の剥離強さ セロハンテープ法」の2種類があります。
本試験は革の仕上げ膜(表面)を接着剤を使用して塩化ビニル板に貼り付けた後、仕上げ膜(表面)が剝離するときの強度を測定する「革の仕上げ膜の剥離強さ」になります。
試験方法
革の表面を接着剤を塗布した塩化ビニル板の上に貼り付けた後、表面層(仕上げ膜)と塩ビ板が剝離するときの強度を測定します。
- 試料を縦方向及び横方向に各2枚ずつ約100mm×10mmの大きさに切り出します。
- 接着剤を塗布した塩ビ板の上に革を貼り付けて錘をのせ、2時間以上乾燥させます
- 革を貼り付けた試験片を引張試験機に取り付け、100mm/minの速度で引っ張り、表面層が30mm剝離するときの強度の平均値を測定します。
- たて及びよこ方向それぞれ試験を行い試験結果を求めます。
試験結果サンプル
下表は試験結果のサンプルです。
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
---|---|---|
革の仕上げ膜の剥離強さ | ISO 11644 | たて:15.1 N/10mm よこ:10.2 N/10mm |
QTEC基準
下表はQTEC基準です。
QTEC基準 | ||
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項目 | 試験方法 | 基準値 |
革の仕上げ膜の剥離強さ | ISO 11644 | 8N/10mm 以上 |
その他特記事項
必要試料サイズ:約200mm×200mm