概要
靴を着用して、歩いたり、走ったりを繰り返すことにより靴の表底や表底の接着部に負荷が加わります。
表底が容易にはがれてしまうと思わぬ事故に繋がる恐れがあります。表底のはく離強度試験はこの表底と甲材間の接着強さを測定する試験です。
表底のはく離強度では、表底と甲材をセメント製法(※1)で作成した靴について、引張試験機を用いて上下に表底及び甲材のつま先部分をつかみ、互いに反対方向に引張り、そのはく離する時の強度の平均値と最低値を測定します。
※1 靴の底付け法のひとつで、表底と甲材を接着剤で貼り合わせ、加圧密着させる製法です。
試験方法
- 表底と甲材のつま先部分を約5mmはく離します。
- 引張試験機の上部治具に甲材のつま先部分に取り付け、下部治具に表底を取り付けます。
- 引張速度100mm/minの速度で引張り、はく離する力の平均値及び最低値を測定します。
試験結果サンプル
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
---|---|---|
表底のはく離強さ(N) | JIS T8101 | 平均 133 |
最低 87 |
QTEC基準
下表はQTEC基準です。
QTEC基準 | |||
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試験項目 | 試験方法 | 基準値 | |
表底のはく離強さ(N) | JIS T8101 | 紳士靴 | 平均値:120N以上 最低値:80N以上 |
婦人靴・子供靴 | 平均値:80N以上 最低値:50N以上 |
その他特記事項
必要試料は、片足になります。
靴の製法としては主に下記のものがあります。
- セメント式…アッパーと表底を接着剤で貼り合わせ、加圧密着させる製法。
- バルカナイズ(加硫)式…吊り込み済みのアッパーに底金型をセットし、未加硫のゴム片を金型に入れ、加熱して加硫圧着しながら同時に本底を成型する製法。
- インジェクション(射出成型)式…吊り込み済みのアッパーに底金型をセットし、液状の合成樹脂を金型に入れ、加熱接着しながら同時に本底を成型する製法。
- グッドイヤーウエルト式、マッケイ式、ステッチダウン式…縫製によって表底を取り付ける製法。各々縫い付け方法が異なる。