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染色堅ろう度の概要と判定(JIS L 0801)

概要

洋服を洗ったときに白物に色が 移ってしまったり、長年保管していると色が褪せてしまっていたり、洋服は着用や保管などで起こる様々な要因で色に関する問題が発生することがあります。
染色堅ろう度とは、このような色落ちや、変色に対してどの程度の耐久性を持っているかを表したもので、日光に対する堅牢度、洗濯に対する堅牢度、汗に対する堅牢度など、製品が実際に使用される環境を想定した様々な試験があります。

試験方法

染色堅ろう度の試験は、色落ちや変色の要因別に様々な方法が用いられます。

代表的な染色堅牢度試験
耐光 酸素系漂白剤
洗濯 色泣き ホットプレッシング
塩素処理水 イエローイング
摩擦 汗耐光 水滴下
ドライクリーニング 昇華 海水
塩素処理水 窒素酸化物 洗液汚染

試験の方法はそれぞれ異なりますが、判定方法は共通しています。

染色堅ろう度は、多くの試験項目において生地自体の色の変わりにくさ(変退色)と他の生地への色の移りにくさ(汚染)を評価し、判定します。

変退色 色生地自体の色が変わってしまったり(変色)、色が褪せてしまったり(退色)して、元の色から変化してしまうこと。
汚染 生地から他の生地へ色が移ってしまうこと。

汚染を評価する場合は、試料に指定の白い生地(添付白布)を用います。
添付白布は1種類の組成だけの単一繊維布と、8種類の繊維が織り込まれた多繊交織布があります。
単一繊維布の場合は2枚、多繊交織布の場合は1枚を試料に添付します。

添付白布(単一繊維布)

添付白布(多繊交織布)

単一繊維布を用いる場合、試料の組成によって、2枚の添付白布を選定します。一般的に1枚は生地と同じ組成の添付白布を用います。

添付白布の一例
試料の組成 第1添付白布の組成 第2添付白布の組成
綿
綿 綿 毛または絹
ポリエステル ポリエステル 毛、絹または綿
ナイロン ナイロン 毛、絹または綿

判定方法

染色堅ろう度試験を実施した後の試験試料を目視で判定します。
判定は「グレースケール」と呼ばれる基準物を使用して行います。

グレースケールには、変退色用と汚染用の2種類があり、前者は、生地の変色の程度を判定する際、後者は添付白布への汚染の程度を判定する際に使用します。

判定級数には1~5級があり、半級(4-5級など)を含めて9段階で評価します。
この数値が大きいほど堅ろう度が高い(変色しにくい、色落ちしにくい)と言えます。

変退色のグレースケール

汚染のグレースケール

(判定手順)
人の目により判定する視感法をご紹介します。
判定はD65という常用光源を照射して行います。

試験片を判定台に45度の角度で置き、常用光源D65で上から照らします。

試験片に対して90度の角度から、グレースケールと試験片を見比べて判定します。

その他特記事項

単一繊維布を用いる場合の第1添付白布、第2添付白布に関しては、お客様の指示に従う場合もあります。
QTEC基準では、洗濯堅ろう度、汗堅ろう度は綿・絹、ドライクリーニング堅ろう度は、多繊交職布、昇華堅ろう度は綿・ポリエステルを使用します。

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