概要
商業クリーニングの方法には、水を使用したウェットクリーニングと、水の代わりに有機溶剤を用いるドライクリーニングがあります。
ドライクリーニング堅ろう度試験は、有機溶剤による色落ちや変色のしにくさを評価する試験方法です。
有機溶剤には塩素系溶剤(パークロロエチレン)を用いるA法と石油系溶剤を用いるB法の2種類があります。
パークロロエチレンは環境負荷がかかるため、石油系溶剤の使用が主流となっています。
さらに、有機溶剤の中に少量の水と界面活性剤を添加するかどうかでそれぞれ1法、2法に分かれます。
少量の水と界面活性剤を添加することで、皮脂などの油汚れだけでなく汗などの水溶性汚れも除去できます。
試験の種類 | 有機溶剤の種類 | 水の添加の有無 | 運転時間 | 温度 |
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A-1法 | 塩素系溶剤 (パークロロエチレン) |
添加する | 30分間 | 30℃±2℃ |
A-2法 | 添加しない | |||
B-1法 | 石油系溶剤 (工業ガソリン5号) |
添加する | ||
B-2法 | 添加しない |
試験方法
- 試験片に多繊交織布1枚を縫い付けて、複合試験片を作成します。
- 試験瓶の中に試験液100mlを入れて、30℃±2℃に調整します。
- 試験瓶に複合試験片を入れて、洗濯試験機に取り付け、30℃±2℃で30分間運転します。
- 複合試験片を取り出して乾燥後、グレースケールで判定します。
試験結果サンプル
下表は試験結果のサンプルです。
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 | |
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ドライクリーニング | JIS L 0860 B-1号 | 変退色 | 4級 |
汚染 | 4級 |
QTEC基準
下表はQTEC基準(抜粋)です。
QTEC基準 ジャケット・コート類 | |||
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試験項目 | 試験方法 | 試験結果 | |
ドライクリーニング | JIS L 0860 A-1号、B-1号 取扱表示による |
変退色 | 4 |
汚染 | 3(4) |
( )内は、濃淡組合せ品に適用
その他特記事項
必要試料サイズ:10㎝×10㎝