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透湿性(JIS L 1099)

概要

レインコートなどの表示で透湿防水という言葉を見たことがあると思います。
これは、雨など、外部からの水は通さず(防水機能)、肌側の湿気を外部へ逃がす(透湿機能)を併せた機能です。
透湿性試験は、後者の機能を持った生地がどの程度湿気を通す能力があるかを評価する方法です。透湿性の数値が高いほど、肌側の湿気を外部へ逃がしやすくなりますので、着用時の快適性に影響する機能と言えます。

透湿性試験は5種類あり、一般アパレルでは主にA-1法が用いられます。
B-1法は湿気は通過させ、水は通過させない透湿防水性素材の評価に用いられます。

試験方法 内容
A-1法(塩化カルシウム法) 乾燥した環境下で、衣服内が多湿状態となった着用条件下における透湿度測定に適用します。
A-2法(ウォータ法) 衣服内が多湿状態となった着用条件下の透湿度測定に適用します。
B-1法(酢酸カリウム法) 防水性のある繊維製品の最大透湿度の測定に適用します。
B-2法(酢酸カリウム法の別法) 防水性のない繊維製品の最大透湿度の測定に適用します。
C法(発汗ホットプレート法) 繊維素材とフィルム、フォーム材、並びに皮革とを組み合わせた積層品に対して、定常状態での温熱抵抗及び水蒸気透過抵抗を測定します。

ISO 11092を基に規定されたものです。

試験方法

A-1法

試験方法

  1. 直径70㎜の試験片を3枚採取します。
  2. 透湿カップに吸湿剤(塩化カルシウム)を試験片の下面との距離が3㎜になるように入れます。
  3. 試験片の表面を吸湿剤または水側に向けて透湿カップに載せます。

    ※画像はイメージのため、実際の試験環境とは異なります。

  4. パッキン及びリングを順次装着し、ちょうナットで固定した後、装着側面をビニル粘着テープでシールして試験体とします。
  5. 試験体を40±2℃、湿度90±5%RHの恒温恒湿装置内の試験片上約10㎜上部の風速が0.8m/sを超えない位置に置きます。
  6. 1時間後に試験体を取り出して、質量を測定します。
  7. 再び試験体を恒温恒湿装置内に同条件で起き、1時間後に試験体を取り出して、質量を測定します。
  8. 下記の式によって、透湿度を算出します。

    透湿度(g/㎡・h)=(試験体の1時間当たりの質量の変化量(g/h))/(透湿面積(㎡))

試験結果サンプル

下表は試験結果のサンプルです。

試験項目 試験方法 試験結果
透湿度 JIS L 1099 A-1法 75g/㎡・h

※試験結果は1時間当たりの数値が記載されます。

QTEC基準

QTEC基準は設定されていません。
数値が高いほど、湿気を通しやすいと評価できます。

その他特記事項

必要試料サイズ:30㎝×10㎝

B-1法

試験方法

  1. 約200㎜×200㎜の試験片を3枚採取します。
  2. 試験片を試験片支持枠に、試験片の裏面が支持枠の外側に向くように装着します。
  3. 試験片支持枠を温度30±2℃の恒温槽地中に置いた、温度約23℃の水の入った水槽に試験片が十分浸るような約10㎜の深さの位置に固定し、15分以上放置します。

    ※画像はイメージのため、実際の試験環境とは異なります。

     

  4. 次に、透湿カップに温度約23℃に保った吸湿剤(酢酸カリウム溶液)を容積の2/3まで入れ、約100㎜×100㎜の補助フィルムを装着して試験体とする。
  5. 試験体の質量をフィルム装着側を上にして測定します。
  6. 測定した後、試験体を倒立させ、水槽に固定した試験片支持枠の中に置きます。
  7. 15分後に試験体を取り出し、反転させて質量を測定します。
  8. 下記の式によって、透湿度を算出します。
    透湿度(g/㎡・h)=(試験体の15分当たりの質量の変化量(g/h))/(透湿面積(㎡))

試験結果サンプル

下表は試験結果のサンプルです。

試験項目 試験方法 試験結果
透湿度 JIS L 1099 B-1法 50g/㎡・h

※試験結果は1時間当たりの数値が記載されます。

QTEC基準は設定されていません。
数値が高いほど、湿気を通しやすいと評価できます。

その他特記事項

必要試料サイズ:20㎝×60㎝

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