Test

形態安定性試験(JIS L 1924)

概要

紳士服やビジネスウェアの売り場で「ノンアイロンシャツ」や「形状記憶シャツ」を見かけることが多くなりました。これらは型崩れやしわが発生しづらく、洗濯後に伸びたり縮んだりしづらい形態安定加工が施されています。

形態安定性試験では、こうした製品に施された形態安定加工を評価します。

試験方法は、ワイシャツを20回繰り返し洗濯及び乾燥を行い、洗濯後の生地外観平滑性(しわ)、シームパッカリング※1及び保形性※2について、標準立体レプリカ・標準写真を用いて等級判定を目視で行います。

また、衿まわり及びゆきの寸法変化率※3を測定します。

※1…縫い目付近の波状のしわを指します。
※2…衿やカフス、前立ての形状がどの程度変わっていないかを判定写真によって判定します。
※3…洗濯前と洗濯後で寸法がどの程度伸び縮みしたかを測定します。

試験方法

  1. 試料を3点用意します。
  2. JIS L 1930 C4N(水温40℃の通常の強さ)で洗濯を行います。
  3. 洗濯後、吊干しまたはタンブル乾燥を行います。
  4. 1回洗濯後を判定します。
    判定は、試料を暗室で照明ランプを点灯させて行います。3人の評価者が、1200㎜離れた場所で別々に等級評価を行います。
    以下の4つの項目を判定します。
    1)洗濯後の生地外観平滑性(JIS L 1096)
    2)シームパッカリング(JIS L 1905)
    3)保形性
    4)寸法変化率(JIS L 1930)

    洗濯後のしわの判定

    シームパッカリング判定見本

    1回洗濯後の評価結果が20回試験後の評価基準に満たない場合、形態安定性なしと判定され、その後の試験は行いません。

  5. 評価基準を満たした場合に、2、3を10回もしくは20回繰り返します。
  6. 10回もしくは20回洗濯後を判定します。
  7. 全ての評価部位の値を評価基準によって評価し、形態安定性の有無を判定します。
洗濯10回繰り返し後の評価基準値
評価項目 評価部位 評価基準
形態安定性 生地外観平滑性 後身ごろ 3.2級以上
シームパッカリング えり 3.5級以上
カフス 3.0級以上
前立て 3.0級以上
ポケット 3.0級以上
わき縫目 2.5級以上
ヨーク 2.5級以上
アームホール 2.5級以上
保形性 えり 3.0級以上
カフス 3.0級以上
前立て 3.5級以上
寸法変化率(%) えり回り -1.5%~+1.0%
ゆき -1.5%~+1.0%
洗濯20回繰り返し後の評価基準
評価項目 評価部位 評価基準
形態安定性 生地外観平滑性 後身ごろ 3.0級以上
シームパッカリング えり 3.0級以上
カフス 2.5級以上
前立て 2.5級以上
ポケット 2.5級以上
わき縫目 2.5級以上
ヨーク 2.5級以上
アームホール 2.5級以上
保形性 えり 2.5級以上
カフス 2.5級以上
前立て 3.0級以上
寸法変化率(%) えり回り -2.0%~+1.0%
ゆき -2.0%~+1.0%

試験結果サンプル

QTEC基準では、洗濯1回目と10回目の結果が以下の基準を満たすことを基準値としています。

洗濯方法:JIS L 1930 C4M
洗濯回数:10回
乾燥方法:表示通り

外観・縫製 異常がないこと
寸法変化率 織地 ±1.5%以内
編地 ±3%以内
変退色 4級以上
色泣き 目立たないこと
パッカリング 3.5級以上(織地)
斜行 7(5)%以下(編地)
生地外観平滑性 3.2級以上

※斜行のカッコ内は、スリット・前割れ及びたて方向に柄等がある製品に適用

その他特記事項

必要試料サイズ:製品3点

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