概要
寒い時期に使用する布団には、保温性が求められます。布団の保温性に寄与する要因としては、中わたのかさ高性(空気を保持する体積の大きさ)、通気性(空気の抜けにくさ)、吸湿発熱性(湿気が吸収されて熱にかわる現象)、キルティングの形状(縫い目の入れ方)、ドレープ性(体型への馴染みやすさ=隙間の出来にくさ)などが考えられます。
また、保温性が高いばかりではなく季節に応じた寝具を選択することで、快適な寝床環境を得ることが出来ます。
布団等の保温性評価(QTEC法)は、布団や毛布など寝具の保温性を評価します。布団の間に発熱体を挟み、発熱体を一定時間定温維持する為に要した消費電力量を計測し、ブランク試験との対比によって保温率(%)を算出します。
試験方法
発熱体を敷き布団及び掛け布団の間に挟み、発熱体を一定時間定温維持する為に要した消費電力量(kWh)を計測します。また、ブランク試験として検体を設置しない試験を行い、
下記の式より、保温率(%)を算出します。
W =(1-a/b)×100
W:保温率(%) a :検体を設置したときの消費電力量(kWh) b :検体を設置しないときの消費電力量(kWh)
試験環境:室温20±2℃ 湿度65±4%RH
発熱体:大きさ103×52×3cm 設定温度:60℃
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試験装置
![](/wp-content/uploads/2023/04/feature_17_02.jpg)
検体を設置した様子
試験結果サンプル
下表は試験結果のサンプルです。
掛け敷き組合せ ※1 | 保温率(%) |
---|---|
薄手の敷きパッドと薄手の毛布の組合せ | 57.6 |
厚手の敷きパッドと厚手の毛布の組合せ | 74.5 |
ウレタンフォームマットレスと羽毛布団の組合せ | 91.6 |
※1 発熱体を裸状でパイプベッドの上に設置した場合をブランクとし、上下ヒーター消費電力量の合計値から保温率を算出した。 |
掛け布団 ※2 | 保温率(%) |
---|---|
薄手の毛布 | 60.2 |
側地に起毛素材を用いた合繊わた布団 | 83.2 |
羽毛布団(ダウン90%フェザー10%) | 92.0 |
※2 ブランク、試験品測定共に、敷き布団側にウレタンフォームマットレスを使用し、上部ヒーターの消費電力量より算出。 |
数値が大きいほど保温性能が高いことを示しており、商品毎の保温性能が数値化出来ていることが分かります。
その他特記事項
必要試料量:製品(シングルサイズ)1枚