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防汚性(JIS L 1919)

概要

防汚性とは汚れを防ぐ機能性の事で、その加工には大きく分けて、生地に汚れが付きにくいSG(Soil Guard)加工、生地についた汚れを洗濯などで落としやくしたSR(Soil Release)加工、2つの複合であるSGR加工があります。
JISでは一般化された汚れの種類(粉体、親水性液体、親油性液体)ごとに、それぞれの性能を確認する試験が設定されています。
また一般化された汚れ以外にも各種特別な条件下での汚れ(食品汚れなど)に対する性能を確認する試験もあり、そちらは一般社団法人 繊維評価技術協議会の定めるSEKマークが広く一般に認知されています。

試験方法

  1. 粉体汚れに対する試験:A-1法(密閉形円筒容器を用いる方法)
    1) 泥汚れ等を想定した荒い粒子を含んだ油性の粉体汚染物質との接触に対する汚れの付きにくさ/落ちやすさを評価します。
    試験対象として作業着などが想定されます。
    2) 試験片:100mm×120mmを3枚用意します。
    3) ピリング(JIS L 1076)用のゴム管に巻きつけ、上下と縫い目をビニールテープでシールします。

    4) 容量が約2200mLの密閉形円筒容器に製作した試料と粉体汚染物質-1を1g入れ、ICI型ピリング試験機(JIS L 1076)に円筒容器を入れて20分間操作します。

    5) 試験片をゴム管から取り外し、試験片の四隅を持ち替えながら、試験片の裏面中央部を5回はじきます。一度はじくごとに90度回転させて持ち替えます。

    6) 直ちに汚染用グレースケールで判定し、汚れの付きにくさとします。
    7) 取り出してから1時間以内に、JIS L 1930に規定するC4M法によって洗濯し、平干し乾燥します。
    8) 乾燥後にも汚染用グレースケールで判定し、汚れの落ちやすさとします。

  2. 粉体汚れに対する試験:A-2法(密閉形樹脂製袋を用いる方法)
    1) 気中に浮遊している粉塵や花粉などを想定した細かい粒子を含んだ乾性の汚染物質に対しての汚れの付きにくさ/落ちやすさを評価します。
    試験対象としてインテリア(カーテンなど)が想定されます。
    2) 試験片:100mm×100mmを3枚用意します。
    3) 容量が約2500mLの密閉形樹脂製袋に試験片と粉体汚染物質-2を0.5g入れ、エアポンプで完全に膨らむまで空気を入れて密閉します。
    4) 膨らませた袋を、ICI型ピリング試験機(JIS L 1076)に入れて20分間操作します。
    5) 試験片を取り出し、試験片の四隅を持ち替えながら、試験片の裏面中央部を5回はじきます。一度はじくごとに90度回転させて持ち替えます。
    6) 直ちに汚染用グレースケールで判定し、汚れの付きにくさとします。
    7) 取り出してから1時間以内に、JIS L 1930に規定するC4M法によって洗濯し、平干し乾燥します。
    8) 乾燥後にも汚染用グレースケールで判定し、汚れの落ちやすさとします。

  3. 親水性汚れに対する試験:B法(スプレー法)
    1) 親水性汚れに対しての汚れの付きにくさ/落ちやすさを評価します。
    試験対象として作業着、インテリア(マット類)などが想定されます。
    2) 試験片:200mm×200mmを3枚用意します。
    3) はっ水性試験(JIS L 1092)の試料保持枠に試験片を取り付け、親水性汚染物質100mLを散布します。散布後1分間放置し、余分な汚染物質をろ紙で吸い取ります。

    4) 平干しで乾燥させた後、汚染用グレースケールで判定し、汚れの付きにくさとします。汚れの濃さが均一でないときは、一番濃い部分を判定します。

    5) JIS L 1930に規定するC4M法によって洗濯し、平干し乾燥します。
    6) 乾燥後にも汚染用グレースケールで判定し、汚れの落ちやすさとします。

  4. 親油性汚れに対する試験:C法(滴下拭き取り法)
    1) 親油性汚れに対しての汚れの付きにくさ/落ちやすさを評価します。
    試験対象として作業着などが想定されます。
    2) 試験片:100mm×100mmを3枚用意します。
    3) ガラス板の上に試験片を置き、10mmの高さから親油性汚染物質を0.1ml滴下します。
    汚染物質は3種類から適したものを選択します。

    4) 1分間放置後にろ紙で余分な汚染物質を吸い取ります。
    5) 直ちに汚染用グレースケールで判定し、汚れの付きにくさとします。
    中心部が濃いなど均一でない場合、濃い部分を判定します。

    6) 吸い取り後1時間以内に、JIS L 1930に規定するC4M法によって洗濯し、平干し乾燥します。
    7) 乾燥後にも汚染用グレースケールで判定し、汚れの落ちやすさとします。

  5. 各種汚染物質は下表のとおりです。
    粉体汚染物質-1 粉体汚染物質-2 親水性汚染物質
    ピートモス 40% けい藻土 55% 食品添加物 赤色2号 0.1%水溶液 50%
    ポルトランドセメント 17% ポルトランドセメント 22% スクロース 10%水溶液 50%
    はくとう土 17% 二酸化けい素 20%
    けい藻土 17% カーボンブラック 2%
    ミネラルオイル 8.75% フェライト用酸化鉄(Ⅲ) 1%
    カーボンブラック 0.1%
    フェライト用酸化鉄(Ⅲ) 0.15%
    親油性汚染物質-1 親油性汚染物質-2 親油性汚染物質-3
    粘性の大きい 粘性の小さい 総合的
    オリーブ油 98.9% オリーブ油 61.9% オリーブ油 61.9%
    フェライト用酸化鉄(Ⅲ) 1% オレイン酸 38% オレイン酸 37%
    オイルレッド 0.1% オイルレッド 0.1% フェライト用酸化鉄(Ⅲ) 1%
    オイルレッド 0.1%

試験結果サンプル

下表は試験結果のサンプル及びSEKマーク評価基準値となります。

項目 試験結果 評価基準
A-1法 汚れの付きにくさ 3級

<絶対評価>
3.5級以上

<相対評価>
3.0級以上かつ
未加工布との差が1.0級以上

付いた汚れの落ちやすさ 4級
A-2法 汚れの付きにくさ 1級
付いた汚れの落ちやすさ 3.5級
B法 汚れの付きにくさ 2級
付いた汚れの落ちやすさ 4.5級
C法 汚れの付きにくさ 1.5級
親油性汚染物質-2 使用 付いた汚れの落ちやすさ 3級
花粉汚れ試験 花粉の付きにくさ 3級 <絶対評価>
付きにくさ3.0級以上 かつ 落ちやすさ4.0級以上
花粉の落ちやすさ 4級
食品汚れ試験 カレー 3級 <絶対評価>
4.0級以上
(落ちやすさ評価のみ)
ミートソース 4級
ラー油 3級

その他特記事項

  1. 汚染物質が付いた状態の試験後試料を原布と比較して評価するため、濃色の試料では試験が実施できません。淡色の試料をご準備ください。
  2. C法の汚染物質は3種類あり、依頼者様にて汚染物質を選択していただいております。
    ただしSEKマーク取得における試験では親油性汚染物質-2が指定されており、特別の理由が無い場合は同じく親油性汚染物質-2を選択するのが一般的となっています。
  3. SEKマーク基準には、JIS L 1919以外の評価として「花粉汚れ」、「食品汚れ」に関する規定もあります。詳細はお問い合わせください。

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