概要
保温性試験は、生地がどの程度の保温性(熱を外気へ逃がさず保つ性能)を持っているかを評価する方法です、主に冬物衣料に使用される生地や、中わた素材に対して使用されます。
保温性試験には、JIS L 1096 A法とサーモラボⅡ試験機を用いた方法があります。
どちらも試験片を熱板に置いたときの熱損失を測定します。
熱損失が少ないほど、保温性が高いと評価できます。
試験方法 | 試験内容 |
---|---|
JIS L 1096 A法 | 風のない環境下での保温性を評価します。 |
サーモラボⅡ試験機を用いた方法 | 風のある環境下での保温性を評価します。 |
試験方法
JIS L 1096 A法(恒温法)
保温性試験機
- 約300㎜×300㎜の試験片を2枚採取します。
- 試験片を保温性試験機の恒温発熱体(36±0.5℃)に取り付けます。
- 発熱体の表面温度が一定値を示すようになってから2時間後に試験片を透過して放射される熱損失(A)を求めます。
- 次に、試験片のない裸状のままで同様の温度差、及び時間に放散される熱損失(B)を測定します。
- 下記の式によって、保温率を算出します。
保温率(%)=1-((A)発熱体に試験片を取り付けた時の放熱量(J/㎠・s))/((B)発熱体の裸状における放熱量(J/㎠・s))×100
試験結果サンプル
下表は試験結果のサンプルです。
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
---|---|---|
保温性 | JIS L 1096(恒温法) | 60% |
QTEC基準
下表はQTEC基準です。
QTEC基準 | ||
---|---|---|
項目 | 試験方法 | 基準値 |
保温性 | JIS L 1096(恒温法) | 対象品との差が5.0%以上 |
その他特記事項
必要試料サイズ:30㎝×60㎝
サーモラボⅡ試験機を用いた方法
保温性試験機
試験方法
- 約200㎜×200㎜の試験片を3枚採取します。
- 試験片を保温性試験機の恒温発熱体(環境温度+10℃)に取り付けます。
- 試験片の面に一定速度の風(30㎝/sec、または1m/sec)を吹き付けます。
- この時の試験片を介した熱損失量(A)を測定します。
- 次に、試験片のない裸状のままで同様の温度差、及び時間に放散される熱損失(B)を測定します。
- 下記の式によって、保温率を算出します。
保温率(%)=1-((A)発熱体に試験片を取り付けた時の放熱量(J/㎠・s))/((B)発熱体の裸状における放熱量(J/㎠・s))×100
試験結果サンプル
下表は試験結果のサンプルです。
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
---|---|---|
保温性 | KES-F7 サーモラボⅡ型 ドライコンタクト法 |
50% |
QTEC基準
下表はQTEC基準です。
QTEC基準 | ||
---|---|---|
項目 | 試験方法 | 基準値 |
保温性 | KES-F7 サーモラボⅡ型 ドライコンタクト法 |
対象品との差が5.0%以上 |
KES法では、4種類の条件下での試験が可能です。
主にドライコンタクト法が用いられます。
試験方法 | 内容 |
---|---|
ドライコンタクト法 | 乾燥状態で、皮膚と生地が接触している状態 |
ドライスペース法 | 乾燥状態で、皮膚と生地の間に空間がある状態 |
ウェットコンタクト法 | 汗をかいた状態で、皮膚と生地が接触している状態 |
ウェットスペース法 | 汗をかいた状態で、皮膚と生地の間に空間がある状態 |
その他特記事項
必要試料サイズ:20㎝×60㎝