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繊維製品の光吸収発熱性評価方法(JIS L 1926)

概要

光吸収発熱性とは、光を吸収しそれを熱に変換する性能のことです。
寒さを感じやすい場面での需要が高く、釣りや冬場のトレッキング時に着用するウェアなどに付与されています。
また太陽光(自然エネルギー)で効果が得られるため近年のサステナブルな観点からも注目の集まる衣服の機能性の一つです。

この繊維製品の光吸収発熱性評価方法では、太陽光を模擬した人工太陽照明灯による照射を行い、生地背面に設置した受熱体の温度を測定することで光吸収発熱性を評価します。

試験方法

  1. 90㎜×90㎜の試験片を4枚採取します。
  2. 試験片をしわが生じないように試験片ホルダに取り付けます。
  3. 受熱体が完全に覆われるように試験片と受熱体表面を密着させます。 また試験台の4か所の受熱体のうち少なくとも1か所は、試験片ホルダのみ(試験片無し)を取り付けたブランク試験とし、試験片と同時測定します。
  4. 光照射前の受熱体裏面の初期温度と光を照射して30分後の受熱体裏面の温度をサーモグラフィーで測定します。
  5. 新しい試験片を用いて4か所の受熱体全てで測定されるよう繰り返し試験します。
  6. 試験結果は試験片、ブランク共に4か所の結果を平均し、次の式によって光吸収発熱温度差ΔTを求めます。

光吸収発熱温度差ΔT=(ΔTs−ΔTb)
ΔTsTs30−Ts0…試験片の平均上昇温度(℃)
ΔTbTb30−Tb0…ブランク試験の平均上昇温度(℃)
Ts0: 試験片の平均初期温度(℃)
Ts30: 試験片の30分間後の平均到達温度(℃)
Tb0: ブランク試験の平均初期温度(℃)
Tb30: ブランク試験の30分間後の平均到達温度(℃)

 

試験結果サンプル

試験結果の例

加工品 未加工品
光吸収発熱温度差(℃) 8.8 2.5

数値が大きいほど良い結果です、基準値は各社納入先により異なります。
結果は加工品、未加工品との差で評価することもあります。

QTEC基準

下表はQTEC基準です。

q-maxの数値が大きいほど触れた時に冷たく感じます。

QTEC基準
試験項目 基準値
光吸収発熱性 加工品が未加工品より2℃以上高いこと

その他特記事項

  1. 必要試料量: A4サイズ以上
  2. サーモグラフィーによる表面温度測定
    弊社ではサーモグラフィーを用い人工太陽照明灯を照射した際の表面温度測定もご依頼可能です。受熱体ではなくサンプル表面温度を直接測定することができ、検体間の差異をビジュアル的に分かりやすく評価することが出来ます。
    また、サーモグラフィーの熱画像のご提供も可能です。お気軽にご相談ください。

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