概要
夏場に日傘や日焼け対策グッズ等で「99%UVカット」や「UPF50」といった言葉を見かけると思います。
こうした生地が紫外線をどれだけ防ぐかを評価する試験になります。
紫外線(UV)とは
紫外線は、A波、B波、C波の3種類に分けられます。
地上に到達するUVのほとんどはA波とB波の290nm~400nmであると言われており、紫外線遮蔽率(%)ではこのA波とB波がどれだけ防げるかを評価します。
名称 | 波長 | 特徴 |
---|---|---|
A波(UV-A) | 315~400nm | 地表に到達する紫外線のほとんどです。 透過力は強くありませんが、UV-Bほど有害ではありません。タンパク質の変性や肌が黒くなる日焼け(サンタン)を引き起こします。 |
B波(UV-B) | 280~315nm | 一部が地表に到達します。 肌の表皮層に作用して、肌が赤くなる日焼け(サンバーン)を引き起こします。 |
C波(UV-C) | 280nm未満 | 強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が強いですが、大気に吸収されるためほとんど地表には届きません。 |
UPFとは
UPFは「Ultraviolet protection factor(紫外線防護係数)」の略で、衣類の肌に対する紫外線防護度合いを示す指数です。
「UPF○○」とは、肌に直接光が当たる場合に比べて、何倍の日焼け低減効果が得られるかを示しています。数値が高いほど効果が高く、例えば「UPF50」とは肌に直接光が当たる場合に比べて、皮膚への影響を1/50に低減できることになります。
試験方法
- 約50㎜×約50㎜の試験片を、たてよこ各2枚以上、合計4枚以上採取します。
- 試験片を分光光度計にセットして、波長範囲290nm~400nmの紫外線を照射します。
- 透過した光の分光強度を検出し、紫外線透過率を測定します。
- 紫外線透過率を用いて、紫外線遮蔽率もしくは紫外線防護係数(UPF)を算出します。
紫外線遮蔽率(%)
外線透過率から生地が紫外線をカットした割合を算出します。
紫外線遮蔽率(%)=100ー 紫外線透過率(%)
紫外線防護係数(UPF)
紫外線は波長によって「肌への影響度」および「地表到達時の強度」が異なります。これらを考慮した係数を各波長の透過率にかけてUPF換算値を算出します。
UPF換算値を用いて、UPF格付け値が試験結果となります。
UPF換算値 | UPF格付け値 |
---|---|
55以上 | UPF50+ |
50 | UPF50 |
45 | UPF45 |
40 | UPF40 |
35 | UPF35 |
30 | UPF30 |
25 | UPF25 |
20 | UPF20 |
15 | UPF15 |
10以下 | UPF適用外 |
分光光度計
試験結果サンプル
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
---|---|---|
紫外線遮蔽率(%) | JIS L 1925 | 90 |
紫外線防護係数 | JIS L 1925 | 50+ |
評価の目安として、QTEC基準では紫外線遮蔽率は80%以上、紫外線防護係数はUPF15以上としています。
また、(一社)繊維評価技術協議会では、以下のようにSEKマーク評価基準を設けています。
評価方法 | 紫外線遮蔽率(%) | UPF格付け値 | |
---|---|---|---|
対象製品 | 右記以外 | 着用するもの、日傘など | |
評価基準 | A | 98%以上 | UPF50+ |
B | 90%以上 | UPF15以上 |
(一社)繊維評価技術協議会 紫外線遮蔽加工マーク
その他特記事項
必要試料サイズ:紫外線遮蔽率、紫外線防護係数(UPF)どちらも20㎝×20㎝