概要
インフルエンザウイルスやノロウイルスを始めとしたウイルスへの消費者の関心は年々高くなり、快適・清潔な生活を求め、繊維製品をはじめ、幅広い分野で抗ウイルス製品の需要が拡大しています。
このような背景のもと、2019年にプラスチック製品等の非多孔質表面上の抗ウイルス試験方法(ISO 21702 Measurement of antiviral activity on plastics and other non-porous surfaces)が発行されました。
QTECでは、抗ウイルス加工製品に対する抗ウイルス性試験として、ISO 21702を用いた評価を行っています。
試験方法
- 試料5cm×5cmに試験ウイルス懸濁液を0.4 mL接種します。
- 25℃で24時間作用します。
- 洗い出し液を10mL加え、試料からウイルスを回収します。
- 回収したウイルスを宿主細胞に感染させて、2~3日培養後、ウイルス感染価を測定します。
1)プラーク測定法
プラーク数をカウントし、ウイルス感染価(PFU/sample)を測定します。
*A型インフルエンザウイルス(H3N2)のプラークの様子
プラーク:白い斑点部分。ウイルスが感染したことにより細胞が変性しています。 - 無加工試料と加工試料のウイルス感染価を比較し、抗ウイルス活性値を算出します。
抗ウイルス活性値【R】=(Ut–U0)-(At–U0)=Ut-At
U0:無加工品の接種直後の3検体のウイルス感染価の常用対数値の平均値
Ut:無加工品の24時間作用後の3検体のウイルス感染価の常用対数値の平均値
At:抗ウイルス加工試料の24時間作用後の3検体のウイルス感染価の常用対数値の平均値
試験結果サンプル
ISO 21702では、抗ウイルス効果の基準値は定められていません。
試験方法 | ウイルス株 | SIAA評価基準 |
---|---|---|
ISO 21702 | A型インフルエンザウイルス(H3N2) | 抗ウイルス活性値R ≧ 2.0 (注1) |
ネコカリシウイルス(F-9) |
(注1)耐久性試験として、耐水性試験、耐光性試験での実施が必要となります。
その他特記事項
- 試験対象ウイルス株及び宿主細胞:
試験対象ウイルス株はA型インフルエンザウイルス及びネコカリシウイルス(F-9)です。ウイルス株 宿主細胞 A型インフルエンザウイルス H3N2(香港型) エンベロープ有 MDCK細胞 ネコカリシウイルス(F-9) ノロウイルスの
代替ウイルスエンベロープ無 CRFK細胞 - 必要サンプル量:1試験条件あたり 無加工試料9枚 加工試料6枚
- SIAAマーク認証:
(一社)抗菌製品技術協議会では、抗ウイルス加工製品に対するSIAAマーク認証を行っています。QTECも指定検査機関として指定されており、抗ウイルス加工マークの認証に必要な試験を行っています。 - ASNITE認定シンボル付き試験証明書の発行:
QTECは 2021年に(独)製品評価技術基盤機構(NITE)より国内初の抗ウイルス性試験所として認定され、ASNITE認定シンボル付き試験証明書の発行が可能となりました。抗ウイルス関連製品の信頼性の向上のために、ISO/IEC 17025認定試験所から発行された試験証明書を入手し、是非ご活用いただければと思います。