Test

ラビングテスト(EN12132-1)

概要

この試験はRubbing Testという英国規格で、摩擦試験と訳されますが、染色堅牢度の摩擦試験ではなく、羽毛が接する生地に対しての吹き出しを評価する方法です。日本の羽毛業界ではラビングと呼ばれています。

側生地(羽毛が接する生地)と規定量の羽毛原料でクッションを作り、特殊な摩擦試験機で規定回数摩擦を行い、脱落した羽毛と吹き出し途中の羽毛についてカウントし評価します。

タンブル乾燥機を用いる羽毛吹き出し試験(日羽協法JDFA-TM013)は「羽毛製品」での評価をしますが、この試験では「原料・生地段階」での評価ができます。

羽毛吹き出しに影響する生地の品質に関しては、通気性試験で品質管理を行う事が多いですが、この試験では、羽毛製品が使用時に受けると想定される摩擦作用を与える事により、実際の羽毛を詰めた実際の側生地のダウンプルーフ性(羽毛の吹き出しを防ぐ性能)を評価できます。

試験方法

  1. 羽毛原料と側生地から、120mm×210mmの試験試料(クッション)を作成します。
    その時、長辺方向が生地のたて方向とよこ方向になるようにそれぞれ作成します。
    羽毛原料の充填量は下表の通りです。

    試験用クッションの充填条件
    ダウン含有量(%) フェザー含有量(%) 充填量(g)
    71~100 0~29 30±0.1
    30~70 30~70 35±0.1
    0~29 71~100 40±0.1
  2. 羽毛原料が吹き出し飛び散らない様に試験試料をポリ袋に入れ、試験装置に固定し、規定回数摩擦を行います。
  3. 摩擦後、プラスチック袋中の脱落した羽毛と、試験試料から2mm以上突き出している吹き出し途中の羽毛をカウントし結果(個数)とします。

    ラビング試験機に設置した試験試料(ポリ袋不使用の状態)

試験結果サンプル

下表は試験結果のサンプルです。

試験項目 試験方法 試験結果
ラビングテスト EN12132-1 たて 9個
よこ 2個

QTEC基準

下表はQTEC基準です。

QTEC基準
項目 試験方法 基準値
ラビングテスト EN12132-1 15個以下

その他特記事項

  1. 必要試料量
    試験に必要な試料量は、1m×1m程度の生地をご準備ください。
    充填する羽毛原料については、ご準備いただいた羽毛を詰めてこちらで試料を作製致します。
    なお、QTECではダウン率90%のグースダウンを手配できますので、羽毛原料をご準備できない場合などはご相談ください。
  2. 羽毛吹き出しの主な原因
    a)縫製の問題
    縫製での主な原因には、縫針の損傷、縫針と縫糸の組合せ不適性、パーツの縫合せ不良、ダウンパックの裁目処理不良等があります。
    その他として、縫い位置などにマークを付けるとき、ダウンパックに切込みを入れてしまう不手際も見られます。
    羽毛製品には一般的な布帛製品の縫製仕様や手順とは異なる注意が必要です。
    b)側生地の問題
    ダウンウエアの側生地は薄地で細デニール使いの高密度織物が用いられ、通気性は非常に小さい値になっています。現状のダウンウエア素材は1.0cm3/cm2・s以下が多くダウンプルーフ性は十分あります。しかし、薄地のために羽毛が容易に突き刺さり、生地を通過し易くなります。また、針穴が大きくなりやすい傾向があります。
    c)羽毛品質の問題
    ファイバー、ネックフェザー、未熟フェザーの混入増加の問題があります。
    ファイバー類は縫い目から吹き出し易いので、できるだけ少なく管理することが必要です。
    一方、ネックフェザーは通常のフェザーよりも細く短い為、縫い目や生地から吹き出し易い傾向があります。未熟フェザーは元羽軸が破損し、先が尖ったフェザーになり易いです。そうなると生地に突き刺さったり、縫い目から吹き出し易くなります。これらはフェザー分類試験をすることにより、夫々の混入割合がわかります。

    吹き出した羽毛のサンプル

    ファイバー

    ネックフェザー

    未熟フェザー

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