概要
羽毛原料は精毛工程で鳥の飼育時に付着した土砂・塵埃及び油脂分などの汚れを洗浄し、高温乾燥による殺菌処理後、再び冷却除塵された衛生的な精製羽毛を用いています。
精毛工程が不十分で、有機物が残留すると、微生物などが繁殖し易くなります。微生物の繁殖は、臭気発生など、羽毛品質に悪い影響を与えます。
酸素計数試験は、羽毛の残留有機物を検出する方法で、有機物を酸化するのに必要な過マンガン酸カリウムの滴定により測定します。数値が低いほど、洗浄が良くなされていることを示します。
試験方法
- 試料3.0±0.1gと水300mLを共通すり合わせ三角フラスコに入れ、45分間振とう機にて振とうし、懸濁液とします。
- 懸濁液はろ過器でろ過し、ろ液とします。
ろ液100mLを酸性にした後、0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液で滴定します。この時、水に対しても同様の空試験を行い、確認します。 - 次の式によって酸素計数(mg)を算出し、2回の平均値を求め試験結果とします。
式 S=80(a-b)×f
S:酸素係数(mg)
a:ろ液の滴定に要した0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液(mL)
b:空試験の滴定に要した0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液(mL)
f:0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクター
試験風景 ろ液の作成
試験結果サンプル
下表は試験結果のサンプルです。
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
---|---|---|
酸素計数 | JIS L 1903 | 3.2mg |
QTEC基準
下表はQTEC基準です。
QTEC基準 | ||
---|---|---|
項目 | 試験方法 | 基準値 |
酸素計数 | JIS L 1903 | 4.8mg以下 |
その他特記事項
- 必要試料量
試験に必要な試料量は羽毛原料の場合30g以上で、製品の場合は1点以上を提出いただく事が望ましいです。
これは我々が提出試料をよく混ぜてランダムサンプリングを行う為で、偏った状態の試料からサンプリングをしないようにする為です。 - 滴定原理
1)過マンガン酸カリウム溶液は微紅色を呈します。しかし、有機物が存在しているろ液の中に過マンガン酸カリウム溶液を加えると、有機物を酸化して無色に変化します。
2)更に過マンガン酸カリウム溶液を加え、ろ液内の有機物を酸化しきると、過マンガン酸カリウム由来の微紅色を再度呈します。
3)ろ液が微紅色を呈するまでに要した過マンガン酸カリウム量から、羽毛に残留している有機物量を定量します。
滴定前
(左:空試験、右:ろ液)
滴定中
(左:空試験、右:ろ液)
滴定後
(左:空試験、右:ろ液)