Test

組成表示と混合率(JIS L 1903, EN 12131, EN 12934)

概要

組成混合率は羽毛を8種類の組成成分に分類し、各組成成分が混合している割合を調べる試験です。機械化が出来ない手作業での試験ですが、QTECでは社内手合わせはもとより、国内外の外部機関との手合わせに積極的に参加し、信頼性の高い試験品質を保っています。

羽毛製品の充填物は「ダウン〇〇%/フェザー〇〇%」のような表示がされていますが、これだけではその中にどの様な形状の組成成分がどれくらい含まれているのかが分かりません。その為、適正な充填物の管理を行うために、組成混合率試験で得られる8種類の組成成分の比率を調べ、品質管理をしていくことが大切です。

選別作業風景

試験方法

  1. 約3gの試験試料を2個採取します。
  2. 一次選別として、スモールフェザー、ラージフェザー、損傷フェザー、陸鳥フェザー、きょう雑物、ダウン及びファイバーに選別します。
  3. 二次選別として、一次選別後のダウン及びファイバーから約0.2gの試験試料を採取し、ダウン、ダウンファイバー、フェザーファイバーに選別し、それぞれ質量比から8種類の混合率を求めます。
  4. 一次選別、二次選別の結果から8種類の組成成分の混合率を算出します。この時、試験試料2個のダウンの組成混合率に3%以上の差があった場合には、さらに2個の試験を行い、4個の平均値を求めます。

羽毛の組成成分8種類は下表の通りです。

羽毛混合率試験の羽毛種類 写真例と品質上の問題等
1. ダウン

1)一般的なダウン

2)類似ダウン

3)スモールダウン

4)羽枝が3本以上あるダウン

5)未熟ダウン

3)4)5)は低品質なダウンです。

2. スモールフェザー

1)長さ65mm未満のフェザー

2)長さ65mm未満のネックフェザー

3)未熟フェザー

2)や3)の尖った部分が生地に突き刺さり吹き出し易くなります。

3. ラージフェザー

1)長さ65mm以上のフェザー

硬くてかさ高性が低い為、布団やダウンジャケットには適しません。

4. 損傷フェザー

1)損傷フェザー

水鳥フェザーのうち、虫害、引裂き、粉砕などによって面積の3分の1以上を損傷したフェザー。

5. 陸鳥フェザー

1)チキンフェザー(陸鳥)

羽毛としては不適切なもので、品質に問題のある羽毛には多く含まれていることがあります。

6. ダウンファイバー

1)ダウンファイバー

縫糸に絡まったり、針穴から吹き出し易いです。

7. フェザーファイバー

1)フェザーファイバー 

2)陸鳥ファイバー

縫糸に絡まったり、側地生地に突き刺さって吹き出し易いです。

8. きょう雑物

1)きょう雑物

ダウン、フェザー及びファイバー以外のくず並びに異物。羽毛充填物としては不適切なもので、品質に問題のある羽毛製品には多く含まれていることがあります。

試験結果サンプル

下表は試験結果のサンプルです。

試験結果 羽毛混合率 JIS L 1903
羽毛混合率試験の羽毛種類 単位:%
ダウン 87.5
スモールフェザー 7.3
ラージフェザー 0.0
損傷フェザー 0.1
陸鳥フェザー 0.2
ダウンファイバー 3.2
フェザーファイバー 1.5
きょう雑物 0.2

QTEC基準

下表はQTEC基準です。

QTEC基準
ダウン/フェザー率 表示がいずれか100%の場合:表示値に対して-1%
表示が上記以外の場合:表示値に対して±5%
ファイバー率合計 8.0%以下
ファイバー率合計 8.0%以下
陸鳥フェザー 1.5%以下
きょう雑物 1.5%以下
  1. ダウン/フェザー率については、家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規定に準じた基準を設けております。
  2. ファイバー率が多いと、「縫目や生地からの吹き出しが増える」「かさ高性が悪くなる」などの恐れがある為、基準を設けております。
  3. 陸鳥フェザーやきょう雑物は羽毛としては不適切なもので、通常の羽毛原料には少量しか含まれていませんが、品質に問題のある羽毛には多く含まれている事がある為、基準を設けております。

その他特記事項

  1. 必要試料量
    試験に必要な試料量は羽毛原料の場合20g以上で、製品の場合は1点以上を提出いただく事が望ましいです。これは我々が提出試料をよく混ぜてランダムサンプリングを行う為で、偏った状態の試料からサンプリングをしないようにする為です。
  2. 組成表示(指定用語)の区分
    羽毛混合率試験の結果から、下記の様に指定用語を使用して組成表示を決定します。

    羽毛混合率試験の羽毛種類 組成表示(指定用語)の区分
    1. ダウン 「ダウン」
    2. スモールフェザー 2~8の合計が
    「フェザー」
    又は
    「その他の羽毛」
    3. ラージフェザー
    4. 損傷フェザー
    5. 陸鳥フェザー
    6. ダウンファイバー
    7. フェザーファイバー
    8. きょう雑物
  3. その他の関連試験や規制
    1)IDFB Part3:国際羽毛協会(IDFB)の定める組成混合率試験方法で、アメリカなど多くの国で標準試験方法として用いられています。JISと同じく羽毛を8つの成分に分ける試験方法ですが、分類方法や試験手順など詳細は異なります。

    2)EN 12131:ヨーロッパ基準(EN)の組成混合率試験方法で、欧州での製品の品質表示に用いられています。JISより詳細な10の成分に分ける試験方法で、詳細な試験手順もJISと異なります。

    3)EN 12934:ヨーロッパ基準(EN)の組成ラベル表示の規則で、EN12130組成混合率試験の結果や鳥種試験の結果をもとに表示内容が決定されます。欧州での製品の品質表示に用いられます。

依頼書ダウンロード

この試験に関して相談する

関連する試験