概要

羽毛製品を購入後、開封した際に異臭がした経験はありませんか?
羽毛製品において、臭気発生はよくご相談いただく苦情の一つに挙げられます。
この試験では「羽毛原料」の臭気について、検査員が実際に臭いを嗅ぎ、悪臭かどうか判定します。
QTECでは定期的に嗅覚検査を行い、検査に合格した検査員にて当該試験を実施しています。

試験方法

日本羽毛製品協同組合(日羽協)が定めた試験方法JDFA-TM005を引用しています。

  1. 提出された試料から、羽毛を採取し標準状態に調整します。
  2. 調整した羽毛から約35gの試験試料2検体をランダムサンプリングします。
  3. 検体を蓋の付いた試料調整容器に入れ、臭気判定者は蓋を開けて臭いを嗅ぎます。
  4. 5人の検査員で臭いを嗅ぎ、3人以上が悪臭を感じた場合その試験試料を不合格と判定します。
    「羽毛の強い臭い」・「薬品臭」・「カビ臭」等の不快臭を悪臭としています。
  5. 判定は2検体とも悪臭で無ければ「合格」とし、1検体でも悪臭と判定された場合は、「不合格」とします。

試験結果サンプル

下表は試験結果のサンプルです。

試験項目 試験方法 試験結果
羽毛の臭気 日羽協 JDFA TMー005 不合格

QTEC基準

下表はQTEC基準です。

※QTECでは日羽協の試験方法を用いて、基準値に設定しています。

QTEC基準
項目 試験方法 基準値
羽毛の臭気 日羽協 JDFA TMー005 羽毛から悪臭がないこと

その他特記事項

  1. 必要試料量

    試験に必要な試料量は羽毛原料100g以上です。
    これは我々が提出試料をよく混ぜてランダムサンプリングを行う為で、偏った状態の試料からサンプリングをしないようにする為です。
    なお、当該試験は「羽毛原料」に対する試験ですが、羽毛製品での試験をご要望の場合は担当部署へご相談ください。

     

  2. 羽毛製品の臭気発生要因

    羽毛製品の臭気発生には下に示すような種々の要因があり、これらが複合的に影響して、異臭となって発生します。

    要因 詳細
    1)羽毛の清浄性 羽毛原料は精毛工程で飼育時に付着した土砂・塵埃及び油脂分などの汚れを洗浄し、高温乾燥による殺菌処理後、再び冷却除塵された衛生的な精製羽毛としますが、精毛工程の洗浄が不十分な羽毛は臭気が発生し易くなります。
    2)羽毛の組成 羽根に鳥の油脂成分が残り易い為、フェザー率が高いほど臭気が発生し易くなります。
    3)側生地品質 側生地に染料や加工助剤などが残留し、保管状況などで通常の羽毛臭と複合して臭気が発生し易くなります。
    4)製品保管環境 羽毛は吸湿性があるので、濡れた後や洗濯後の乾燥が不十分な状態や、高温多湿の環境で保管すると、微生物の繁殖が盛んになり臭気が発生し易くなります。
    5)羽毛の飼育環境 飼育期間の短い未熟羽毛は羽軸に成長栄養成分が残り易く、特有の臭気を発生させます。また、飼育中の餌や水質も成長栄養成分に関係する為、臭気に影響します。
  3. その他の関連試験

    QTEC NTM4:QTECの定める悪臭に関する嫌悪度評価方法で、測定者が官能によって評価します。原料でも製品でも試験する事が可能です。嗅覚検査を受け合格した5名により試料の臭いを嗅ぎ、下表のような「臭気強度」と「快・不快度」の尺度で各等級を評価し、式により「嫌悪度」を求めます。

    強度の内容 快・不快度の内容
    無臭 0 快、快でも不快でもない 0
    やっと感知できるにおい 1 やや不快 -1
    何のにおいであるかがわかる弱いにおい 2 不快 -2
    らくに感知できるにおい 3 非常に不快 -3
    強いにおい 4 強烈に不快 -4
    強烈なにおい 5
    式:嫌悪度=[臭気強度判定結果(級)]×[快・不快度判定結果(級)]

    下表はQTEC基準です

    QTEC基準 嫌悪度
    ベビー衣料及び一般肌着 ー1以上
    上記以外の衣類 ー2以上

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