概要
羽毛は鳥から採取されます。鳥は大別すると水鳥と陸鳥に分類されますが、寝装品や衣料品の充填物には水鳥の羽毛が使われます。
充填物に用いられる水鳥羽毛は、鵞鳥(がちょう/グース/Goose)と家鴨(あひる/ダック/Duck)から採取されます。
「グース」や「ダック」の表示をするためには、鳥種鑑別試験を行う必要があります。
「グース」や「ダック」は次のような特徴を持っており、一般的にグースの方が高品質とされています。
- グースの方がダックよりも飼育期間が長く鳥の体形が大きい為、比例してダウンボールが大きく、かさ高性に富んでいます。
- グースの方がダウンの羽枝、小羽枝が細く柔らかく、ドレープ性に富んでいます。
鵞鳥(がちょう/グース/Goose) | 家鴨(あひる/ダック/Duck) |
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ガンを品種改良した草食の家禽で、ダックよりも体が大きく、生育期間も長い為、比較的大きなダウンが得られます。 | 鴨を品種改良した家禽で、食肉やフォアグラ生産の用途として世界中で広く飼育されています。 |
試験方法
日本羽毛製品協同組合(日羽協)が定めた試験方法JDFA-TM002を引用しています。
- 適正に抽出した試料から、ダウン50 個を抜き取り、それぞれ全てについて鑑定顕微鏡で一個ずつグースかダックかを鑑定します。
(フェザーについて鑑別する際は、20個を抜き取り鑑別します) - 鑑定の結果、グース又はダックのいずれかが 6%(3個)以上混在している時は、同様にして更に50 個のダウンを追加で採取し、合計 100 個のダウンについて鑑定します。
(フェザーの場合、グース又はダックが10%(2個)以上の混在している時は、20個追加採取し、合計40個のフェザーについて鑑別します) - 鑑定の終了したそれぞれの質量をひょう量し、鳥種の混合率を求めます。
鳥種鑑別はダウンの小羽枝を顕微鏡で観察し、小羽枝形状の特徴からグース、ダック、陸鳥を鑑別します。
顕微鏡による鳥種鑑別試験風景
ダウン及びフェザーは、鳥種(グース、ダック、陸鳥)によって小羽枝の派生状態、節の位置、大きさ、形などが異なります。下表写真にそれぞれの特徴を示します。
鑑別ポイント | グースの特徴 | ダックの特徴 |
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小羽枝 |
細く密に生えている |
太くて粗い |
節 |
小羽枝の中央に寄っている |
小羽枝の先端に片寄っている |
節と節との間隔 |
間隔が広い |
間隔が狭い |
節の角度 |
節角度が小さい(<60°) |
節角度が大きい(正三角形) |
鑑別ポイント |
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陸鳥は独特の節形状をしている |
試験結果サンプル
下表は試験結果のサンプルです。
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
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鳥種混合率 | 日羽協 JDFA TMー002 | グースダウン 93.5% ダックダウン 6.5% |
QTEC基準
下表はQTEC基準です。
※QTECでは日羽協の試験方法を用いて、基準値に設定しています。
QTEC基準 | |||
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項目 | 試験方法 | 基準値 | 鼻腔 |
鳥種混合率 | 日羽協 JDFA TMー002 | 表示の鳥種90%以上 | 鳥種の表示がある場合に適用 |
その他特記事項
- 必要試料量
試験に必要な試料量は羽毛原料の場合20g以上で、製品の場合は1点以上を提出が望ましいです。これは提出試料をよく混ぜてランダムサンプリングを行う為で、偏った状態の試料からサンプリングをしないようにする為です。