概要
着用中の摩耗により発生する毛玉の事をピルと呼びます。
ピルの発生し易さを確認する試験方法が、JIS L 1076に決められているピリング試験になります。
毛玉ができる仕組みは、まず最初に毛羽立ちが起こり、少しずつ毛羽立った繊維同士が絡んでいき、毛玉(ピル)になります。
特に毛羽立ちの多い生地、風合いの柔らかな甘撚りの糸を用いた生地に発生し易い現象です。。
天然繊維に比べて、合成繊維は繊維強度が強く、発生した毛玉が容易に脱落しないため、生地表面に残留しやすく、試験結果が悪くなる傾向が高いです。
織地と編地で試験時間が異なり、織地は10時間、編地は5時間処理が一般的です。


衣料に発生する毛玉
試験方法
JIS L 1076のA法が一般的に用いられています。
- たて糸(ウェール)方向及びよこ糸(コース)方向それぞれ2枚ずつ、100×120㎜の試料を採取します。
- ピリング試験用のゴム管に、試験片の表地を外側にして巻き付けて、粘着テープで固定します。
試料をゴム管に巻き付ける
- ゴム管に巻いた試験片を4本、ICI形試験機の回転箱内に4本1組で入れ、織物は10時間、編物は5時間で処理します。
回転箱にゴム管を入れる
ICI形試験機
- 処理が終了したら、試験片を取り出します。その際、回転箱内にピルが脱落した場合、ピルを回収し、記録します。
- 処理後のゴム管から試験片を取り外し、試験片のピリングの程度を視感によって観察し、判定写真と比較して等級付けをします。
この際、試験片に毛羽乱れが確認された場合には、毛羽乱れの有無も判定結果に記録します。
試験結果サンプル
試験項目 | 試験方法 | 試験結果 |
---|---|---|
ピリング(級) | JIS L 1076 A法 5時間 | 2.0* |
*ピリング:ピル脱落あり。毛羽乱れあり。
QTEC基準
下表はQTEC基準(抜粋)です。
QTEC基準 セーター類 | ||
---|---|---|
項目 | 試験方法 | 基準値 |
ピリング(級) | JIS L 1076 A法 5時間 | 3級(2)以上 |
( )内は、合繊混、獣毛混に適用、 起毛品は判定より除外
その他特記事項
必要試料量目安:生地 30㎝×30㎝