About QTEC

生きものから得られる材料ならではの試験の難しさに妥協なく挑んでいます。

対応する材料のバリエーションだけでなく、各検査における独自の取り組みにも挑むQTEC。羽毛・羊毛の分野においても、他にはない試験品質でお客様のご要望にお応えしています。羽毛布団やダウンジャケットの需要が高まり続ける中、ますます重要度を増す羽毛試験の内容やこだわりについて、W.Iさんに語ってもらいました。

羽毛試験業務 担当

W.I

W.I

Q入社の経緯を教えてください。

大学時代は生化学を専攻し、卒業後はオーストラリアに本部がある羊毛関連のライセンス・販売促進団体の日本支部で17年働きました。その団体とQTECは以前から業務上の繋がりが深く、先にQTECに転職していた前職の先輩から「試験に関わるスタッフとしてうちに来ない?」と声を掛けてもらい、2013年に中途で入社しました。転職後も引き続き羊毛に関わりつつ、現在は主に羽毛の試験に携わっています。

Q羽毛とは何から作られるものなのですか?

羽毛というと漠然と「鳥の羽」と思っている人が多いと思いますが、実はガチョウやアヒルなど食肉用に飼育された鳥から得られる副産物なんです。つまり、羽毛を得ることを目的に飼育されている鳥はほぼいません。日本ではアヒルやガチョウを食べる習慣がほとんどありませんから、生産の拠点はほぼ海外となります。中国が世界全体の8割以上を生産している他、昔からガチョウやアヒルを食べるヨーロッパも主要な産地となっています。

Qどんな製品を対象に試験をしているのでしょうか?

主に寝具やダウンジャケットです。羽毛布団はかつては何十万円もする高価なものでしたが、最近ではインターネットやテレビの通販でも気軽に購入できるようになってきています。またダウンジャケットも、以前は厳しい寒さに備えるものというイメージでしたが、昨今は気軽に着られる非常に薄手の商品など、バリエーションも増えてきています。こうしてみなさんにとって身近なものとして使われるようになってきたことで、検査の需要も増えてきています。

Q具体的にどのような試験を行っていますか?

羽毛試験には重要なチェックポイントが2つあります。一つは「組織混合率」の確認です。羽毛は主に、ふわっと膨らんだ「ダウン」と赤い羽根共同募金でもらえる羽根のような「フェザー」の2種類に分かれますが、この2つが製品の中にどの程度の割合で含まれているかを見るのが「組織混合率」のチェックです。ダウンとフェザーを手作業で一つひとつ仕分ける試験のため、人手と経験、時間が必要となり、熟練者でも2人がかりで半日はかかります。
もう一つは、「かさ高性」の確認です。こちらは、専用の容器の中に羽毛を入れ、羽毛そのものの膨らみを試験するものです。
さらに、羽毛を包む生地に対しては、小さく堅いフェザーが生地に突き刺さり外に出てきてしまうような問題が起きないかを確認する「羽毛吹出し耐久性」のチェックも行います。

Q羽毛試験におけるQTECの独自性について教えてください。

国内の羽毛試験において、恐らくQTECは最も多くの試験を行っています。私が担当している「吸放湿性試験」もその一つです。羽毛はタンパク質でできているため、吸湿性と放湿性があります。しかし、羽毛布団やダウンジャケットには目の詰んだ生地が使われるため、汗をかいた時にその水分がこもることが懸念されます。そこで、羽毛が持つ吸湿性や放湿性が充分に機能しているかが重要となるのです。

Q試験で難しいと感じることはありますか?

試験方法自体は文字や見本写真で知ることができるため、それを見たり読んだりすればスムーズに試験ができるのではないか、と思われるかもしれませんが、実際は難しい部分も少なからずあります。ダウンやフェザーは生きものから得られる原料なので、一つひとつのサイズや形が微妙に異なります。そのため、マニュアルがあるとはいえ、10年以上続けているベテランでも判断に迷うことは少なくありません。妥協することなく、その難しさに日々挑んでいます。

Qやりがいを感じる瞬間を教えてください。

燃料価格の高騰やそれに伴う餌代の上昇、鳥インフルエンザなどの影響で、ダウンの価格も高騰の傾向が続いています。そのため、安い羽毛を偽装してダウン率を高く見せたり、低品質な製品が市場に出回ったりといったことが懸念されます。そのような不正を防ぐため、試験の定義もしばしば改定されます。そうした変化に細かく対応する大変さもありますが、品質の維持に貢献できることに面白さも感じます。
先ほどもお話しした通り、QTECは多くの羽毛試験を手掛けており、高い独自性も誇っています。一方で羽毛は専門家の数自体が限られた分野でもありますので、今後は我々のノウハウを広く伝えていく必要があると思っています。

Q仕事でチャレンジしてみたいことはありますか?

現在、全体の約3割は海外のお客様からの試験依頼ですが、国外から日本にサンプルを送ってもらい試験をする場合、どうしても費用や時間が余計にかかってしまいます。将来的には海外に関係支部を作るなどしてお客様のコスト削減に繋げ、仕事の幅を拡大していきたいと思っています。

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