About QTEC

基礎研究を活かし、依頼者ニーズに合わせた試験を提案

QTECは、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス作用の性能評価試験を、国内の検査機関としては最も早く確立させました。その背景には、抗微生物性能の効果実証を行う神戸試験センターの研究チームが培ってきた基礎研究の土台がありました。先導したセンター長のY.Iさんが、QTECの第三者機関としての役割や、研究活動への思いについて語ります。

微生物試験業務 責任者

Y.I

Y.I

Q普段どのような業務を担当していますか?

繊維製品やプラスチック製品、液材、電気製品など清潔・衛生を目的とした製品の抗微生物性能評価や、それを活かすための研究を行っています。例えば抗菌加工を施した靴下であれば、実際に菌を作用させ、効果を確かめる実験を行います。
私たちの役割は、依頼主であるお客様に客観的なデータを提供して商品表示の社会的信頼を上げることです。近年、パッケージに効果を表示した製品が増えていますが、第三者機関がその効果を証明することで商品価値を高める動きは今後ますます増えるのではないでしょうか。

Q新型コロナウイルス対応の試験方法の確立にも尽力したそうですね。

当財団は、新型コロナウイルス対策に効果があるとされる製品の効果を測定する性能評価試験を、国内の検査機関としては初めて確立させました。未知のウイルスの試験を確立させるまでには、数多くの実験条件を試すなど、相当な労力を必要としました。その原動力になっていたのは、検査機関としての使命感が8割、残る2割は研究者としての興味でした。試験方法の一刻も早い確立が社会貢献につながることが明らかだったからこそ、エネルギーを注ぐことができたと思います。
また当財団は、ウイルスをはじめとした微生物に対する抗微生物試験方法に関する基礎研究を、継続的かつ地道に続けてきた組織です。その地道な基礎研究の土台があったからこそ、新型コロナウイルスに適した試験研究もスピード感を持って進めることができたのだと考えています。

Q入社のきっかけを教えてください。

大学で生物工学を専攻しており、所属していた研究室の教授に紹介してもらったことがきっかけです。大学入学時は正直なところ、それほど微生物に興味が持てませんでした。その魅力や面白さを教えてくださり今の仕事に導いてくださった恩師である教授には深く感謝しています。
入社後は、7年ほど大阪試験センターの微生物試験チームで勤務していました。大学時代はお世辞にもまじめな学生ではなく、同級生よりかなり遅く社会人になったので、当時は「みんなに追いつけるよう努力しなければ」という思いが強かったように感じます。そこで大切にしたのが、「頼まれたことは何でもする」の精神。たとえ自分には直接関係のない業務でも、期待されて頼まれたことならば喜んで取り組むように心がけていました。その思いは今でも持ち続けています。

QQTECの強みはどんなところにあると考えていますか?

多種多様なニーズに寄り添える柔軟性、またニーズを叶えるだけの確かな技術と専門性です。一般的な性能評価に用いられる規格試験は試験方法が統一されているため、画一的な評価として非常に重要です。しかし、さまざまな製品にも適用できるよう試験条件は広く浅くなるため、製品の特徴によっては試験方法の検討が必要になる場合もあります。
そのため、必要に応じて規格試験にプラスして実際の使用環境でも抗微生物性能を発揮できるかを確かめる実験をご提案することもあります。こうした柔軟性は、積み重ねてきた基礎研究で得た知識・経験・技術によって今も日々磨かれています。

Q業務ではどんなことを重視していますか?

第三者機関としての私たちの使命は、お客様に客観的で正確なデータを提供することです。お客様からの試験方法や試験結果についてのご質問には、誠実に対応することを重視しています。

Qこれから挑戦したいことを教えてください。

微生物試験に関わる基礎研究を地道に続けていきたいです。理由は2つあります。一つは「QTECの知名度向上」のため。基礎研究に基づく論文を投稿することや学会で発表することは、QTECの専門性と技術のPRにつながると思っています。
もう一つは、「検査機関としての試験技術のさらなる向上」です。日々の基礎研究は、新規試験方法の構築につながることもありますが、規格試験を含む既存の試験方法の本質的な試験技術の向上にも直結します。試験方法論は研究内容としてはニッチな分野ですが、微生物学に志を持つ後進のためにも、「QTECという検査機関だからこそできる研究活動がある」ということを、地道に示していきたいです。
また、一人の研究者として、高い技術や専門性を重視するお客様から信頼してお任せいただける存在になれるよう、日々研鑽を積んでいきたいと考えています。

QTECについて