DOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査とは
DOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査とは、ドイツに拠点を置くDOWNPASS e.V.(社団法人ダウンパス)が運営するDOWNPASSに関する第三者監査のことです。DOWNPASS(ダウンパス)は、羽毛製品にDOWNPASSラベルを表示できるマーク制度です。QTECは、DOWNPASS e.V.から認められた第三者監査機関であり、羽毛製品のサプライチェーン(日本国内の商社、羽毛精製処理工場、羽毛充填工場など)に対して、DOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査を実施しています。
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図3:DOWNPASSラベル(寝装品) |
図2:DOWNPASSラベル(アパレル) |
DOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査の目的
市場に流通している羽毛製品は、水鳥(グース、ダック)由来の羽毛が充填されています。家畜化された水鳥は主に食肉として飼育されていますが、と畜の際に副産物の羽毛が生じ、これらの羽毛を羽毛製品の製造に活用しています。 昨今、国際的な動物福祉(アニマルウェルフェア)の高まりとともに、ヨーロッパでは、水鳥の動物福祉に関する動物愛護団体の活動が活発になっています。そのため、コンプライアンスに則った水鳥の飼育、羽毛原料の採取、適正なサプライチェーンの確立が強く求められており、その要請に応えるための信頼性の高いトレーサビリティ・システムに注目が集まっています。こうしたニーズを背景に、ドイツに拠点を持つDOWMPASS e.V.がDOWNPASS規格を開発しました。
DOWNPASS規格は、水鳥(グース、ダック)の動物福祉を保証することを目的としており、羽毛製品を対象とした羽毛原料のトレーサビリティが認証され、水鳥の動物福祉が保証された羽毛製品にのみ、DOWNPASSラベルを表示できます。羽毛製品にDOWNPASSラベルを表示するために、羽毛製品のサプライチェーンは、第三者監査機関によるDONWPAS羽毛トレーサビリティ監査を定期的に受けて、合格する必要があります。
※1 DOWNPASS規格は、DOWNPASSウェブサイトで閲覧できます。
※2 水鳥の動物福祉に関して、注目されている関心事として、以下の2点があげられます。
ライブプラック:生きている水鳥から羽毛を換羽期以外に手で採取する方法
強制給餌:家畜に強制的に飼料を食べさせる方法
※3 DOWNPASS規格の主な目的は、動物福祉ですが、羽毛品質に関しても要求事項があります。組成混合率などの羽毛試験に合格することが求められます。
※4 市場のDOWNPASSラベル付き羽毛製品は、DOWNPASS e.V.の公証人によって、ミステリーショッピング(試買テスト)による市場監視が行われています。
DOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査の流れ
QTECは、DOWNPASS規格に基づくDOWNPASSマーク制度の一部(羽毛トレーサビリティ監査及び品質試験)を担っていますので、最初にDOWNPASSマーク制度の全体像を、その後、QTECが担うDOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査の流れを説明します。
1. DOWNPASSマーク制度の概略は、以下のとおりです。
図4:DOWNPASSマーク制度概略図
1)DOWNPASSの入会希望者は、DOWNPASS e.V.に入会希望を伝えます。DOWNPASSウェブサイトの「Contact」にE-mailアドレスが記載されています。 主な入会対象者は、以下のとおりです。
a.水鳥農場
b.と畜場
c.羽毛を精製処理する工場
d.羽毛を充填する工場
e.羽毛原料/羽毛製品の販売者
2)入会希望者は、DOWNPASS e.V.から配信される申込書類、規定類を確認し、入会申込書、WEB掲載承諾書などを記入し、DOWNPASS e.V.に提出します。入会に必要な事務処理は、QTECでサポートできますので、ご相談ください。入会費等の会費振込は、DOWNPASS e.V.の指示に従います。
3)入会希望者は、申込書類をDOWNPASS e.V.が確認した後、DOWNPASS会員となります。DOWNPASS e.V.から指定期間以内にDOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査を第三者監査機関(QTEC)で受けるよう指示があります。
4)DOWNPASS会員は、QTECの羽毛トレーサビリティ監査を受けます。
5)DOWNPASS会員は、QTECから監査報告書を受け取り、DOWNPASS e.V.に転送します。
6)DOWNPASS会員は、DOWNPASS e.V.が適合と判定した場合、DONWPASS認証書を授与されます。
7)DOWNPASS認証書を授与されたのち、DOWNPASS会員は、DOWNPASSに適合した羽毛原料を供給したり、DOWNPASSラベルを表示した羽毛製品を出荷することができます。
8)DOWNPASS会員は、2年毎に羽毛トレーサビリティ更新監査を受けます。
9)市場に流通しているDOWNPASSラベル付き羽毛製品は、DOWNPASS e.V.により定期的に試買テストが行われ、羽毛品質のチェックが行われています。
2. QTECのDOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査の流れは以下のとおりです。
1)DOWNPASS会員は、DOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査の申請書類をQTECに提出します。申請書類は、一部所定の様式ですが、多くの部分が自由様式です。QTECは、事前打合せを通して、すでにある書類により、申請書類の代用可否を確認しつつ、申請書類作成をサポートします。
2)QTECは、以下のとおり、DOWNPASS羽毛トレーサビリティ監査を実施します。
a. 初回会議:当日のスケジュール等を確認します。
b. 現地監査:DOWNPASS要求事項を現場・記録・インタビュー等を通して
確認します。要求事項には、羽毛原料のトレーサビリティ、
重量バランス、記録管理、羽毛品質管理などがあります。
c. 品質試験:羽毛原料の品質を確認するために、現地監査の際に、羽毛原料/
羽毛製品をサンプリングし、後日QTEC名古屋試験センターで、
羽毛品質の試験を実施し、品質基準への適合性を確認します。
d. 最終会議:監査結果を相互に確認します。
3)QTECは、監査報告書をDOWNPASS会員に発行します。また、DOWNPASS e.V.にも監査報告書をメール提出しております。
※ DOWNPASSを運営しているのはDOWNPASS e.V.ですが、QTECは、羽毛製品のサプライチェーンに対する監査部分及び羽毛品質に対する試験部分を担い、DOWNPASSの適切な運営をサポートしています。