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繊維混用率 JIS L 1030-1、2

繊維製品の混用率試験方法は、第一部と第二部に分かれて規定されております。
ここでは第一部と第二部の概要と、第二部から依頼の多い、獣毛混用率をピックアップしてご紹介いたします。

1.JIS L 1030-1 第一部:繊維鑑別
2.1)JIS L 1030-2 第二部:繊維混用率
2.2)JIS L 1030-2 第二部:繊維混用率より 獣毛混用率

1.繊維鑑別試験(JIS L 1030-1)

概要

繊維鑑別試験は、主として繊維製品品質表示規程に基づく表示行為を行うために、繊維製品に使用されている組成繊維を調べる試験になります。

例えば、皆様の身近にあるシャツ・コートはもちろん、靴下や布団や床敷物も繊維製品となります。

試験方法

JIS L 1030-1では、8つの試験方法が決められています。

1.燃焼試験
2.繊維中の塩素の確認試験
3.繊維中の窒素の確認試験
4.顕微鏡試験
5.よう素ーよう化カリウム溶液による着色試験
6.キサントプロテイン反応試験
7.各種試薬に対する溶解性試験
8.赤外吸収スペクトルの測定試験
繊維の鑑別は、上記の方法を数種、組み合わせて行います。

2.繊維中の塩素の確認試験(バイルシュタイン反応)の様子

染色観察

4.顕微鏡試験の様子

試験結果サンプル

試験の結果は繊維の名称となります。
例:ポリエステル、綿、など

その他特記事項

試験に必要な最少サンプル量の目安は、
無地のもの:A4サイズ以上
柄のあるもの:1つの柄につき、1g以上を3つ以上(3g以上)
※ただし、これは目安ですので余裕をもってご提出をお願いしております。

2.1)混用率試験(JIS L 1030-2)

概要

この試験は繊維製品の構成繊維の混用率(割合、%)を調べるもので、JISでは3種類の方法が定められています。混用率試験の前にはまず繊維の種類がすべて分かっている必要があるため、繊維鑑別試験後に行われます。

試験方法

JISで定められた3つの方法は

1.解じょ法
2.溶解法
3.顕微鏡法
となります。1.の解じょ法が適用できる場合は解じょ法を用いて試験しますが、適用できない場合は2.溶解法を適用し、1.と2.が両方とも適用できない場合は3.顕微鏡法を利用します。

1.解じょ法 の様子

2.溶解法 の一例

試験結果サンプル

身頃部分
59% 綿  38% ポリエステル  3% ポリウレタン
リブ部分
97% 綿  3% ポリウレタン

皆様が着ている衣類のタグに、このような記載があると思います。
この記載もこの混用率試験にて求められているものです。

その他特記事項

繊維の組成の表示方法は、消費者庁の「家庭用品品質表示法」の中の「繊維製品品質表示規程」で決められています。

試験に必要な最少サンプル量の目安は、
無地のもの:A4サイズ以上
柄のあるもの:1つの柄につき、1g以上を3つ以上(3g以上)
※ただし、これは目安ですので余裕をもってご提出をお願いしております。

2.2)獣毛混用率(JIS L 1030-2 )

概要

第二次大戦後、それまで一般消費者の身近に無かった合成繊維が広く世に出回る事になり、消費者保護の観点から、昭和三十年に繊維製品品質表示法が制定され、適正なる品質表示を行うことが義務付けられました。
その後、昭和三十七年にそれまでの繊維製品品質表示法を発展させる形で、家庭用品品質表示法として再出発してからも、獣毛に関しては長らく「毛」としてのみ表示可能とされていました。
カシミヤ・アルパカ・アンゴラ等の獣毛種の表示が可能になったのは、繊維製品品質表示法制定から四十二年後の平成九年の繊維製品品質表示規程の改正時に、統一文字から指定用語に変更された時になります。
本試験においては、品質表示規程に則した表示を行うにあたって、獣毛種の表示を行う際の試験として、獣毛種の繊維混用率を光学顕微鏡を用いる事により算出する事を目的とします。

試験方法

  1. 必要に応じて前処理を行った試料をミクロトームで細かく裁断し、スライドガラス上に流動パラフィンをマウント剤とし、解剖針を用いて繊維が均一に分散するようにカバーガラスで封入して観察用試験片とします。
  2. 観察用試験片(スライドガラス)を光学顕微鏡のステージに載せ、顕微鏡観察にて獣毛種の種類を特定、全体の本数が1000本以上となる様に本数をカウントします。
  3. 獣毛種の種類毎に原則100本以上、繊維の直径を測定します。
  4. 得られたそれぞれの獣毛の本数、繊維直径、定められている密度を元に、下記の式により獣毛の正量混用率を算出します。

XA(%)={(NA×AA×SA)/(NA×AA×SA+NB×AB×SB)}×100
XB(%)=100-XA
XA: A繊維の正量混用率(%)
XB: B繊維の正量混用率(%)
NA: A繊維の本数(個数)
NB: B繊維の本数(個数)
AA: A繊維の平均断面積
AB: B繊維の平均断面積
SA: A繊維の密度(g/cm3
SB: B繊維の密度(g/cm3

試験結果サンプル

カシミヤ 75.0%
羊毛 20.0%
アンゴラ  5.0%

繊維製品品質表示規程(改正日:令和3年12月20日/施行日:令和4年1月1日)

別表第五(第六条、第九条関係)

混用率の許容範囲は、次の各号に掲げる場合においてそれぞれ各号に定めるとおりとする。

  1. 混用率が百パーセントである旨を表示する場合は、毛にあってはマイナス三パーセント以内、毛以外の繊維にあってはマイナス一パーセント以内。ただし、くず糸、ノイル又は反毛を使用する紡毛式又は空紡式の糸及びこれを使用して製造し又は加工した繊維製品に、その組成繊維の混用率が百パーセントである旨を表示する場合であって、くず糸、ノイル又は反毛を使用した紡毛式又は空紡式の糸である旨又はその糸を使用した旨を付記する場合は、マイナス五パーセント以内。
  2. 混用率を示す数値に「以上」を付記して表示する場合は、マイナス〇パーセント、「未満」と付記する場合は、プラス〇パーセント。
  3. 混用率を示す数値が五の整数倍(百を除く。)である場合は、プラス・マイナス五パーセント以内(前号に掲げる場合を除く。)。
  4. 前各号に掲げる場合以外の場合は、毛又は羽毛の間にあってはプラス・マイナス五パーセント以内、それ以外にあってはプラス・マイナス四パーセント以内。

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