概要
水を含むと地盤が緩くなり地盤沈下や崩落の原因となります。
水による地盤の緩みを軽減する為には、いかに素早く排水できるかが重要なため、土木資材には高い透水性能が求められます。透水性は、ジオテキスタイル(土木用繊維材料)において、試料中を流れる水の透過率(透水係数)を測定する試験です。値が大きいほど水が流れやすく、透水性の良好な材料であることが示されます。試料の表面から裏面に流れる水の量を測定する「垂直方向透水性試験」と試料の断面方向に流れる水の量を測定する「面内方向通水性試験」という2種類に分けられます。
試験方法
垂直方向透水性 JIS A 1218 準拠
ジオテキスタイルにおいて広く利用される試験方法です。元は土の透水係数を測定するJISの試験方法ですが、土の代わりに不織布や織地等を試験装置に取り付け、透水係数を測定します。
- 20cm×20cmの試験片を3枚用意します。
- 試験装置に試験片を取り付けます。
- 装置の上部に水を流し、試験片を通過して下に流れてきた水の量を計測します。
- 下記計算式にて透水係数を算出します。
k=(V×m)/(t×h×S)
k:透水係数(cm/s)
V:透水量(cm3)
m:試験片の厚さ(cm)
t:通水時間(s)
h:水頭差(cm)
S:通水面積(cm2)
面内方向通水性 ISO12958 準拠
国際規格であるISOで定められた方法であり、不織布など厚みのあるものにおいて広く利用される試験方法です。試験片の上からエアバッグを用いて圧力をかけた状態で面内方向に水を流します。測定時間内に通過して出てきた水の量より透水係数を測定します。
- 10cm×30cmの試験片を用意します。
- 試験装置に試験片を取り付けます。
- エアコンプレッサーを用いて、試験片の上部に設置してあるエアバッグに指定の圧力をかけます。
- 試験片の側部よりに水を流し、試験片の面内を通過して下に流れてきた水の量を1分間計測します。
- 下記計算式にて透水係数を算出します。
k=(V×L)/(t×h×m×w)
k:透水係数(cm/s)
V:透水量(cm3)
L:試料の長さ(cm)
t:通水時間(s)
h:水頭差(cm)
m:試験片の厚さ(cm)
w:試験片の幅(cm)
垂直方向透水性 ASTM D 4491 準拠
アメリカの規格であるASTMで定められた方法での透水係数試験も実施可能です。基本的な原理はJIS A 1218と同様ですが、材料ごとの動水勾配を設定した上で、敷設現場で実際に水が透過する性能を測定することができます。
試験結果サンプル
試験項目 | 試験結果 | 試験方法 |
---|---|---|
垂直方向透水係数(cm/s) | 1.30×10-2 | JIS A 1218 準拠 |
面内方向透水係数(cm/s) | 9.87×10-1 | ISO 12958 準拠 拘束圧 49kN/㎡ 動水勾配:0.1 |
垂直方向透水係数(cm/s) | 1.30×10-2 | ASTM D 4491準拠 水頭差:5cm |
その他特記事項
必要試験片サンプル量
JISA1218準拠:50cm×50cm
ISO12958:1m×1m
ASTM D 4491:50cm×50cm