概要
化学防護服JIS T 8115に記載されている、防護服タイプ5粉塵防護服で要求される試験です。
専用の試験チャンバー内に塩化ナトリウム粒子のエアロゾルを導入し所定濃度に安定させます。試験チャンバー内に防護服を着用した被験者が入り、歩行運動や屈伸運動を行います。被験者が着用している防護服には事前に塩化ナトリウム粒子のエアロゾル濃度を測定できる炎光光度計につながるチューブが接続されており、ブース内の塩化ナトリウム粒子がどれだけ防護服内部に侵入してきたかを測定します。
試験方法
防護服の胸・腰・脚部分の内側3ケ所に粒子採取プロープを固定し、サンプリング管を取り付けます。
被験者は塩化ナトリウム粒子が散布されている試験チャンバーに入り、静止・歩行・屈伸の3つの運動をJISに規定された手順通りに実施します。その際、防護服内の塩化ナトリウム粒子を3ケ所のサンプリング管より吸引し、炎光光度計にて塩化ナトリウム濃度を測定します。3つの動作に対してそれぞれ3ケ所の個別塩化ナトリウム濃度を測定し、試験チャンバー内のエアロゾル濃度に対する個別漏れ率並びに全漏れ率を算出します。
実際の試験では、最低5人の被験者に10着分同様の試験を繰り返し行い、全90の個別漏れ率のデータを取得します。
粉塵防護服タイプ5は、最低でも試験によって得られた90の個別漏れ率データを昇順に並べた際に82番目の数値が30%以下であり、かつ、全漏れ率の10のデータを昇順に並べた際に8番目の数値が15%以下であるという条件を満たす必要があります。
試験結果サンプル
試験結果は90個全てのデータおよび、合否判定に用いられる個別データの82番目と全漏れ率の8番目の数値を記載し報告します。全データを見ることで、各動作における部位ごとのデータを確認でき、どこから漏れているのか、どのような動きに弱いのかを確認することができます。
※試験結果例
No. | 測定部位 | 動作 | 試験結果 | ||
---|---|---|---|---|---|
サンプル1 | … | サンプル10 | |||
1 | ひざ | 静止 | 2.31 | … | 2.34 |
2 | 背中 | 2.11 | … | 4.44 | |
3 | 胸 | 4.09 | … | 5.43 | |
4 | ひざ | 歩行 | 3.11 | … | 7.92 |
5 | 背中 | 6.54 | … | 9.31 | |
6 | 胸 | 2.22 | … | 5.72 | |
7 | ひざ | 屈伸 | 4.32 | … | 1.22 |
8 | 背中 | 6.78 | … | 3.21 | |
9 | 胸 | 1.12 | … | 7.44 | |
全漏れ率 % | 3.62 | … | 5.22 | ||
個別漏れ率の82番目 % | 7.44 | ||||
全漏れ率の8番目 % | 5.21 |
その他特記事項
必要試験サンプル量:防護服製品状態(11着)