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合成繊維

合成繊維は主に石油を原料としており、共通した性質として、強い(耐引張、耐引裂、耐摩耗etc)、熱可塑性がある、吸湿性が低い、耐電しやすい、耐薬品性に優れる、虫害の影響を受けにくいなどの特徴があります。

ここでは、代表的なものとしてポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、ポリウレタンについて紹介致します。

 

ポリエステル

特徴

ポリエステルは一般的にはポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のことを言いますが、PETのエチレンがブチレンに置き換わったポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維や、エチレンがトリメチレンに置き換わったポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維も含みます。家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規程ではこれらを総称して「ポリエステル」「POLYESTER」と表示します。

ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維は強度、耐熱性、熱可塑性(加熱すると柔らかく、冷やすと再び固くなる性質のこと)を持っており、この性質を利用して、繊維に捲縮性を与えて、ふんわりとふくらみを持たせた嵩高加工糸や、織物・編物ではセット性の高いプリーツ加工が施されます。ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維はポリエチレンテレフタレート(PET)繊維と類似した特性と伸縮性があります。ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維も同様にポリエチレンテレフタレート(PET)繊維と類似した特性と伸縮性と柔らかさがあります。

 

主な用途

衣料・インテリア・寝装などポリエステルの特性である強度や取扱易さを要求される用途で広く使用されており、衣料用途以外では自動車タイヤの補強材などの産業資材分野でも使用されております。

ナイロン

特徴

ナイロンは一般的にはナイロン6とナイロン66があり家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規程ではこれらを総称して「ナイロン」「NYLON」と表示することが出来ます。

ナイロン6・ナイロン66共に同じような性質で比較的柔らかく、強度が強く、耐摩耗性に優れています。また、天然繊維には及びませんが、合成繊維の中では高い吸湿性を有しております。

主な用途

パンティストッキング、ランジェリーなどの肌着類、靴下、水着、スポーツウエア全般などナイロンの特性である柔らかさや耐摩耗性を要求される用途で広く使用されており、衣料用以外では歯ブラシ、カーペット、タイヤコードなどに使用されております。

アクリル

特徴

アクリルは家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規程において、ポリアクリルニトリル系合成繊維のうち、アクリルニトリルの質量割合が85%以上のものは「アクリル」、85%未満のものは「モダクリル」と表示するよう規定されています。アクリルはステープルが主で、一部フィラメントが製造されております。軽く、柔らかい繊維でかさ高性、保温性、熱収縮性があります。また、耐光性に優れており長時間の日光暴露でも強度の低下が少ない繊維です。

 

主な用途

セーター、肌着、毛布などの秋冬物衣料や寝装品などアクリルの特性である柔らかくて保温性を要求される用途で広く使用されており、衣料用以外では耐光性の特徴を生かして国旗や各種イベントの国旗に使用されております。

ポリプロピレン

特徴

ポリプロピレンは家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規程では「ポリプロピレン」と表示するように規程されています。ポリプロピレンは密度が低く合成繊維の中では最も軽く、吸湿性がなく、熱伝導率が低く、耐熱性が低い繊維です。

主な用途

衣類としては他の合成繊維ほど利用されておりませんが熱伝導率の低さを生かして肌着・ビジネスソックスなどに他の繊維と混用し使用されております。衣料品以外では防水シートなどに使用されております。

ポリウレタン

特徴

ポリウレタンは家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規程では「ポリウレタン」と表示するように規程されています。ポリウレタンはスパンデックスとも呼ばれゴムのような性質を持っており、伸縮性が大きい繊維です。

 

主な用途

衣類にはひろく利用されておりますがポリウレタン繊維単独で使用されることは少なく、肌着・水着・靴下やその他ストレッチアイテムに他の繊維と混用し使用されております。