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家庭洗濯におけるファイバーフラグメント(繊維屑)脱落量の定量化試験の 受注開始について(AATCC TM212-2021)

2022.10.04

規格・規制

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【概要】
ファイバーフラグメント(以下FFという)とは、5㎜以下のマイクロプラスチックファイバーを含んだ細かい繊維屑の事を言います。ポリエステルやアクリルなどの合成繊維で構成された衣服などの繊維製品を洗濯した時、洗濯槽やドラムの中で掛けられる負荷によって、これら繊維製品から細かいFFが脱落することがあります。洗濯液に混入した細かいFFは排水と共に下水道へ流出し、最終的に海洋プラスチック汚染の一因になることが近年の研究で分かってきました。

AATCC TM212-2021は、衣服などの繊維製品から洗濯時に脱落するFF量を評価するため、2021年8月にAATCC(米国繊維化学技術・染色技術協会)から発表された試験方法です。

この試験は、対象とする繊維製品を構成する生地から試料を採取し、洗濯時に脱落されるFF量を客観的に評価する方法です。試験はラウンダオメーター(Launder-OMeter)と呼ばれる洗濯堅ろう度用の試験機を用いて生地を洗濯処理し、生地から脱落したFFを定量することで、洗濯時に繊維製品からFFがどの程度脱落されるのか、ある程度推測することが可能です。


写真1 ラウンダオメーターと専用の試験容器(キャニスター)

 

【試験方法】
1.たて340mm、よこ200mmに切り出した生地端を裏側に2回折り込み、4辺を本縫いしたものを4枚作成し、試験試料とします。


写真2 縫製後の試験試料

2.ラウンダオメーターのキャニスター(容量1200mL)に、イオン交換水又は洗剤溶液、ステンレス鋼球、試験試料を入れ、40℃で45分間運転します。

3.キャニスターの内の試験液と、試験試料、ステンレス鋼球、キャニスター内部のすすぎ液を併せてフィルターで漉し、試料から脱落されたFFを回収します。

4.脱落されたFFを回収したフィルターを乾燥後、質量を測定します。

写真3 試験後のフィルター

5.下記の計算式を用いて、FFの脱落量(g)、及び脱落率(%)を算出します。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます

【試験結果例】  
〇試験方法 AATCC TM212 2021
(洗浄オプションB:イオン交換水のみ、乾燥オプションA:21±2℃ 65±5% RH環境下で4時間)

項目

試験結果

ファイバーフラグメント脱落量(g)

 0.0014

ファイバーフラグメント脱落率(%)

0.0018

 

【コメント】
海洋プラスチック汚染は世界的に関心が高まっており、その一因と言われるファイバーフラグメントを抑制するため、合成繊維で構成された衣服などの繊維製品では、洗濯時にFFの脱落量が少ないことが国際的に求められています。

今回紹介したAATCC TM212はラウンダオメーターを使用した生地に対する試験ですが、家庭用電気洗濯機を用いた試験方法の開発も、欧州CIAで進められています。このように、世界的な規模で衣服など繊維製品由来のファイバーフラグメントを抑制する取り組みが活発に行われています。

QTECでは、今後も家庭洗濯時に脱落されるFFの定量評価についてノウハウを蓄積し、SDGs活動を支援するため積極的に皆様方へ情報提供を行って参ります。

 

ファイバーフラグメントの定量化試験についてのお問い合わせ

東京試験センター   (お問い合わせはこちら