特定芳香族アミン類について

アゾ染料と特定芳香族アミン類の危険性について

衣類には、身体を保護し、寒さや日光等から身を守る大切な役割がありますが、個性を主張し、時に職業や団体への帰属などを明示する役割も持ちます。そういった役割のために、色とりどりの染色や、プリント加工が大いに力を発揮します。

古代より、人類は布や革など繊維質のものに染色を行なってきました。天然の染料を利用した染物は、例えば草木染があります。日本でも、伝統的な染色方法として藍染が有名です。

近代になると、大量生産と大量消費の時代が到来し、19世紀ごろから化学染料を利用して染色をするようになりました。前述の藍も化学染料である合成インディゴにほとんど取って代わられました。化学染料の良い点は、天然染料とは違い、染色時の色が安定していること、コストが低いこと、長期保存が可能であることなどが挙げられます。しかしながらその反面、環境汚染や人体への健康被害などが発生してきました。

アゾ染料は、そのような化学染料の一つです。アゾ基（RーN＝NーR’）を持つ有機化合物のなかで、芳香族性のある化合物には色素を持つものがあり、そういった化合物をアゾ染料と呼んでいます。

＜アゾ基（トランス）＞

＜(E)-p-(フェニルアゾ)フェノール＞

＜o-トルイジン＞

アゾ染料は色調が豊かで取り扱いが易しいため、多くの衣料品に利用されています。現在全染料のうち、おおよそ80％程度がアゾ染料ですが、そのうちの2～3％のアゾ染料は、皮膚の表面、腸内の細菌、肝臓などにおいて、何らかの条件下で還元作用が働き、染料が分解して発がん性のある芳香族アミン化合物が発生する可能性がある事が分かってきました。そこで、それらのなかで24種類に基準値を設けて特定芳香族アミン類として区別し、使用が規制されています。特に体に触れる製品に関しては基準値以下である必要があります。

 

24種類一覧表

特定芳香族アミン類の規制について

日本では、2015年4月1日に有害な化合物の家庭用品への使用を規制する「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」にて、24種類の特定芳香族アミンが【30 μg/g（＝30 ppm）以下】に規制されています。

他、海外にも規制があります。

具体的な分析方法については試験詳細の「特定芳香族アミン類」をご参照ください。