ジオテキスタイル試験

QTEC東京試験センターでは独自にジオテキスタイル試験室を設置し、多くの試験検査実績を有しております。

ジオテキスタイルとは

本来、テキスタイルとは布地、織物、編物、繊維製品を指しますが、これにGeology(地質)のジオを接頭語とした「ジオ・テキスタイル」という言葉は、1977年に Dr. J.P.Giroudが土木建設用途の合成繊維製品をジオテキスタイルと呼んだのが始まりです。
身近な例で言えば、土壁の内部で組まれている小舞竹(こまいたけ)や、鉄筋コンクリート柱の内部で支柱となる鉄筋の役目が土とジオテキスタイルの関係に当ると言えば分かり易いのではないでしょうか。
実際には、道路工事や築堤工事などもっとスケールの大きな土木工事の現場において、砂や土や礫の弱点を補いつつ高い性能を発揮できるため、大量にジオテキスタイルが使用されています。さらに、ジオテキスタイルは土や礫に比べ軽量で施工性が良いこと、工業製品のため天然の土や礫に比べて品質が一定であり構造設計がしやすいことなどから、1990年代以降年々使用実績が拡大しています。

ジオテキスタイルの機能

土は小さな粒子の集まりのため引張り抵抗力は弱く、乾燥したり湿潤したりするとバラバラになりやすい性質を持っています。そのため、勾配が急な斜面では崩れ易く、軟弱地盤では不同沈下(地盤の沈下が一様ではなく、場所により不揃いに沈下すること)します。また、粒子と粒子との間には隙間が存在するので粒子が大きくなると隙間も大きくなるため水が通り易く、逆に粒子が小さくなると隙間が小さくなるため粘土のように水を通し難くなります。
さらに、土の特性は一様ではなくそれぞれの場所毎に異なっています。そのため、適切なジオテキスタイルを敷設することによって、設計目的に合わせた地盤に改質します。例えば、そのままでは崩壊し易い急斜面の盛土でも、高強度のジオテキスタイル(ジオグリッド)を敷設することで築造を可能としたり(写真1)、軟弱地盤に高密度のジオテキスタイル(ジオウェブ)を敷き詰めることで、軟弱地盤の上に盛土をしても不同沈下を防止したりすることができます。また、水はけを改善するため通水性の良いジオテキスタイル(ドレイン材)を敷設し、盛土内の水を排水することで地盤を安定化したり(写真2)、遮水性の高いジオテキスタイル(ジオメンブレン)を敷設することによって、浸透した水が土を吸い出したり洗掘したりすることで引き起こされる堤防やトンネルなどの構造物の崩壊を防いだりします。その他、籠状のネット(ジオネット)に礫を詰めて河岸や湖岸に敷設し堤防を洗掘による侵食から防ぐこともできます(写真3)。このようにジオテキスタイルの主な機能としては、①補強(強化)、②排水、③分離、④ろ過の4つがあげられます。ここで、③の分離とは地中の砂礫層や粘土層をジオテキスタイルで層間分離し、性質の異なる層が混ざり合うことを防止することで設計上の特性を維持できる機能です。分離機能の延長として地表面と大気中との層間を分離(遮断)し、雑草の発芽や育成を防止する防草シートは最も身近に存在するジオテキスタイルでしょう(写真4)。④のろ過とは、ある粒径以上の砂礫をふるいのようにフィルタリングして、敷設されたドレイン材が砂礫で目詰まりすることなく本来の排水性能を発揮させる機能のことです。
写真1 ジオグリッドによる
補強盛土
写真2 水平ドレイン材による
盛土安定化
写真3 ジオネットによる
堤防護岸
写真4 防草シート

ジオテキスタイル試験

QTEC東京試験センターでは独自にジオテキスタイル試験室を設置し、多くの試験検査実績を有しております。例えば、盛土補強材に用いられるジオグリッドやジオウェブの引張強さ試験においても、光学式非接触伸び計を備えた300kNや200kNのキャップスタン型引張試験機(写真5、写真6)を用意し、被検体に適した試験機を選択することで精度や信頼性の高い測定結果を提供しております。また、10kN、5kN用の油圧チャックやエアーチャック、各種アタッチメントも備えており、様々なジオテキスタイルについて引張強さや伸度、引裂強さ、貫入抵抗など補強機能や分離機能を評価する物理特性を測定することができます。

写真5 300kN 引張試験機
写真6 200kN 引張試験機
写真7 10kN 引張試験機
写真8 5kN 貫入抵抗試験機

排水機能を評価する水理特性においては、ISOに準拠して動水勾配を考慮した垂直方向透水性や面内方向通水性を測定することができる他、フェルトなど材料によっては、垂直方向についても簡易的に拘束圧をかけながら透水性を評価することも可能です。ろ過機能においては、乾式及び湿式スプレー式の開孔径試験機を備えており、ジオテキスタイルの見かけの開孔径を測定することができます。耐候性試験ではJISのWS型サンシャインウェザー促進暴露試験機(写真9、写真10)を5機備えており、1000時間や2000時間超といった長時間処理の要望に対しても、試験条件を考慮しながらQR対応を心掛けております。特に耐候性大型土のうの性能評価試験においては、生地材料に要求される性能項目:引張強さ、伸度、耐候性、定荷重状態下の耐候性試験、耐薬品性、耐熱性、耐寒性、溶出試験、開孔径、透水性の全項目を東京試験センター内で一括して試験・分析ができることから、各試験に関する技術アドバイスや試験データーの信頼性、試験納期、試験費用について満足頂けるよう努めております。また、(一財)土木研究センター(PWRC)様から第三者検査機関に認められており、QTECが発行した試験成績証明書は耐候性大型土のうPWRC性能証明申請に必要な提出書類として、多くのお客様よりご支持を頂いております。

写真9 サンシャインウェザー促進曝露試験機
写真10 耐候性試験室
kk-banner.png20180731.png
キューテック閲覧システム