新人の久太郎(きゅうたろう)君:
まずは、もらった資料に目を通してみないと、始まらないですよね。(・・・しかし、たくさん資料あるなぁ・・・・汗)
スーツのテカリ
紳士スーツを購入して、2回着用したら左腰ポケットの上部分が円形に光っているのに気が付 いた。
ダウンジャケットのダウンの吹出し
ダウンジャケットを1シーズン着用したところ、 ジャケットの中から糸屑のようなものや 羽根の破片がたくさん出てきてしまった。
新人の久太郎(きゅうたろう)君:
過去のクレーム情報がこんなに!どうしよう!
糸偏部長:
お!もしかして、徹夜しちゃった!?いやあ、ごめんごめん。昨日渡した資料の中に、これを入れるのわすれちゃってね。
新人の久太郎(きゅうたろう)君:QTEC品質基準・・・?QTECって、なんですか?教えていただけますか?
糸偏部長:
QTECは一般財団法人日本繊維製品品質技術センターの略称で繊維製品などの品質を試験してくれる、検査機関のひとつなんだよ。
資料の中のクレーム情報あるでしょ?時系列に気がついたらわかると思うけど、5年前以前の資料が多かったでしょ?
ウチの会社が、まだ品質管理があまりうまくいってなかったときの資料なんだよ。
5年前から、QTECに試験を依頼するようになってクレームが激減しているんだよ。
だから、まず、QTECとコンタクトをとって、いろいろ教えてもらうといいんじゃない?
新人の久太郎(きゅうたろう)君:
(それを、なんで最初に・涙)
わかりました!
とりあえず、QTECにいってみます!
ようこそ!QTEC東部事業所へ!
御社を担当させていただく、QTECの白羽と申します!よろしくお願いします!
さて、いろいろと、お困りのようですね!
ご安心ください!
品質の維持に関しては、日本を代表する繊維製品の試験機関のひとつである、
QTECにお任せください!
70年の経験と、年間30万件以上の検査・試験の実績それらを基盤として、
衣料品などの品質にお困りの皆様へ的確なお手伝いをさせていただきます!
新人の久太郎(きゅうたろう)君:
(おお!70年の経験とか、なんだか、心強い!)よろしくお願いします! さっそくですが、当社の製品の品質維持についてどんな試験が必要なんでしょうか?
それでは、QTECで行われる繊維・衣料品の代表的な試験・検査についてご説明いたします。
(もちろん、これから述べる試験・検査がすべてではありません。ご興味ある方は、ぜひ一度、メールにてお問い合わせください。)
新人の久太郎(きゅうたろう)君:
(あれ?最後の言葉はだれに言ってるのかな?)お願いします!!
染色堅ろう度は、品質評価の代表的な試験のひとつです。衣料品等の色落ち、色移り程度を確認するために、生地を試験試料として作成し、専用の試験設備を用いて試験します。
洗濯堅ろう度:
目的:家庭洗濯において、「衣料品の色が変わらないか」「他の洗濯物に色移りしないか」を調べる目的で実施される試験です。(試験は、洗濯作用を反映させた促進試験により、短時間で実施されます。)
洗濯で色が変わったこの帽子のようなクレームを未然に防ぐために、必要な試験なんですね!
汗堅ろう度:
目的:JIS L 0848に基づき、汗で濡れた状態で長時間衣料品を着用したときの変色や、退色などの状況を調べる試験です。実際に使われるのは人工的に作った汗と同じ成分の液体です。
汗による色の変化も事前の検査で防げるんですね!
バックの把手強さ:
目的:バックなどの把手の強度を調査します。
バックの把手が取れてしまうような製品も、
この試験を事前に実施することでサンプル段階で問題把握が可能ですね!
染色堅ろう度、物性について、試験のほんの一部ですが、「どうして必要なのか?」ご理解いただけましたでしょうか?
なるほど、染色堅牢度は生地や素材の色の変化の事故を防ぐために、事前に確認したほうがいいんですね。で、物性試験は素材の強さを確認するために必要なんですね!よくわかりました!
そうですね。また、事前に確認する試験は、そういったケースばかりではないんです。中には、法律で規制されている物質もありますので、安全性についてチェックする試験も重要になってきます。
分析試験は、特定芳香族アミン(アゾ染料)、金属含有量など化学物質に関する分析を実施します。 微生物試験は、抗菌性、抗カビ性、抗ウイルス性など、微生物に関連した機能性に関する品質性能を試験します。
アゾ染料の分析
アゾ染料はアゾ基という化学構造を有する染料の一群であり、染料全体の60〜70%を占めます。
皮膚の細菌や酵素により還元分解され、アゾ染料からアミンが生成されます。
生成されるアミンはもとになるアゾ染料によって決まり、ごく一部のアミンは有害性が指摘されています。
アゾ染料の分析も、東部事業所および上海総合試験センターにて実施しております。
ダウンジャケットのダウンの吹出し
JIS L 1902(繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果)
a)定性試験(ハロー法)
b)定量試験(生菌数の測定:混釈平板培養法または発光測定法)
菌液吸収法
菌転写法
試験には定性試験と定量試験があり、一般社団法人繊維評価技術協議会SEKマーク繊維製品認証基準では菌液吸収法または菌転写法により性能を評価しています。
ケミカルにバイオに、普段なにげなく、安心安全という言葉をつかっていますが、
その裏には大変高度な技術が存在するのですね! (もっと勉強しないと!)
大丈夫です!そのあたりも含めて、QTECに一任ください!
さて、いろいろな試験について、教えていただきましたが、品質に問題があることが判明しても、その場限りの対応で終わってしまうようなことも、現実にはあると思うんですが、「そもそも問題が発生しないようにする」ためには、どういった方法が有効なんでしょうか。もちろん毎回きちんと試験を実施して安全確保することは絶対必要だとおもいますけど・・・・。
「そもそも問題が発生しないようにする」ことに、近道はないと思います。
地道に試験をおこなって、その都度問題を潰していくことが結局は一番の近道かもしれません。 ただ、QTECでは長年の経験と蓄積した技術から、工場の指導なども行っています。 これらを活用することも有効かと思います。
縫製工場①
工場でのアイロン掛けの様子
縫製工場②
縫製ラインの様子
ところで、QTECでは衣料品以外にもいいろいろな試験ができると聞きました。どんなものがあるか、教えていただけますか?
東京都芝浦にある東部事業所では特に産業資材(土木工事などの素材等)に特化した試験設備が整っています。
耐候性
目的:試料の屋外曝露に伴う劣化の度合いを確認する
JIS B 7753に基づき、サンシャインカーボンアーク灯と水スプレー装置により、劣化を促進させて評価することができる。
透水係数
目的:試料中を流れる水の透過率(透水係数)を測定
ジオテキスタイル(土木用繊維材料)において、試料中を流れる水の透過率(透水係数)を測定する。値が大きいほど水が流れやすく、透水性の良好な材料であることを示す。透水係数は、試料中の水の流れる方向から、垂直方向と面内方向(断面方向)とに分けられる。
貫入抵抗
目的 : ASTM D 4833に基づき、貫入抵抗力を測定する。
ジオテキスタイル(土木用繊維材料)にφ8mmの貫入棒を突き刺し、貫通するときの荷重を測定します。
耐磨耗性(シートベルト等)
目的 : JIS D 4604に基づき、シートベルト等テープ状資材の摩耗劣化を評価する。
試料を、鋼製の六角棒に押し付け、往復2,500回の摩擦を繰り返した後、引張強さによって摩耗劣化を評価することができます。
強伸度(ベルト、ロープ等)
目的 : 産業資材(ベルト、ロープ等)の強度を調べる。
引張り試験機を使用し、ベルト、ロープなどの強度を測定します。 試料の強伸度について最大300kN、最大試料幅20cmまでの測定が可能です。
強伸度
目的 : 織布、不織布等の強度(引張強さ、引裂強さ等)を測定する。
治具、ロードセルを付け替えることにより、最大100kNまで測定可能です。
いろいろ教えてもらって、ありがとうございます。 いろいろな試験があることがよくわかりました。 でも、そのためにもっとわからなくなったことがあります。 製品を店頭に並べるまでに必要な試験をいったいどこまで実施すればいいんでしょうか?
もし、初めて試験を行うのであれば、
QTECが作成した「QTEC品質基準」で試験を依頼してください。
基準とは、いってみれば試験項目のセットになります。
自社で品質について特にガイドラインがない場合などは、
まずQTEC品質基準を推奨させていただきます。
これがQTEC品質基準になります。
毎回これらの項目をすべて実施するというわけではありませんので、
製品の特性や種類などお気軽にご相談ください。
なるほど!勉強になるなぁ! あ、それでは、ウチの店頭販売でなくって、 量販店様などに納入するような場合でも、 QTEC品質基準で試験を実施すればいいんですか?
大手量販店様の場合は、独自の品質基準を設けて、 厳しく品質管理をされているケースがほとんどです。 QTECでは著名な量販店様の品質基準についても 十分な実績を積んでおります。 ぜひ、お気軽にご相談ください!
© Basic Inc. All Rights Reserved.